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A20 Pro、大幅な性能向上を実現する先端技術のハーモニー

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A20 Proチップ

A20 Proチップ

AppleからA20 Proを搭載したiPhone 18 Proがリリースされた。このA20 Proは、iPhoneの進化に大きな影響を及ぼすアップデートを複数実施した画期的なプロセッサとなった。ここではその詳細を見てみよう。

スーパーコアの性能が20%アップ、さらに高効率コアも進化


A20 Proチップ:CPU

A20 Proチップ:CPU

Appleの発表では、新しい2基のスーパーコア(高性能CPUコア)の性能は20%向上したという。

Geekbench 6でのiPhone 17 Proとの比較でも、Singleスコアが約20%向上していることが確認できる。

ちなみにA19 Proの高性能CPUコアの動作速度が42.6GHz、A20 Proのスーパーコアの動作速度は4.93GHzなので、動作速度自体が15%向上したことが大きく貢献している。

残りの5%は64KBから96KBへと50%増強されたL1データキャッシュ、6MBから8MBへと増強されたL2キャッシュなどが効いていると考えられる。


スマートフォン最速のCPU

スマートフォン最速のCPU

数値こそ示されていないが、4基の高効率コアの性能はさらに伸びている。というのもGeekbench 6でのiPhone 17 Proとの比較で25%近くMultiスコアが伸びており、これはスーパーコア以上に高効率コアの性能向上幅が大きく、全体を底上げしていることを示している。

ただし、Multiスコアは全コア稼働時の性能なので、もしかするとメモリ帯域が50%拡張された恩恵が大きいのかも知れない。

つまりA19 Proでは全コア稼働時にピーク性能を引き出すにはメモリ帯域が不足していた可能性もある。

大きく伸びたGPU性能と、Neural Acceleratorの進化


A20 Proチップ:GPU

A20 Proチップ:GPU

一方、GPUの伸び率はCPUよりさらに高い40%アップと発表された。Geekbench 6でのiPhone 17 Proとの比較でも、Metalスコアが約36%伸びているのが確認できる。こちらも各コアの動作速度が向上していることに加えて、コア数も6基から7基に増えていることが効いている。

動作速度がCPUと同様15%伸びたと仮定すると、約34%の性能向上が見込める。さらに今回、帯域拡張が合わせて実施された。

この帯域拡張とは、メモリ帯域の拡張と、GPUからメモリに至る経路(キャッシュを含む)のワイドバンド化の両方を意味する。GPUは超並列処理を行うプロセッサのため、メモリ帯域への要求がCPUとは比べものにならないほど高い。

今回のA20 Proの改良では、iPhone向けプロセッサに最強のGPUをもたらしたといえる。

A19 Proから採用が始まったGPU内のAIアクセラレータ「Neural Accelerator」も更新された。

GPUの7コア化によってNeural Acceleratorの数も増え、さらにFP8(8ビット浮動小数点演算)のネイティブサポートによって、AI処理時に多くのメリットが得られるようになった。(FP8ネイティブ対応の恩恵については、Neural Engine項目で解説)

デュアルNeural Engineの搭載と、FP8のネイティブサポート


A20 Proチップ:デュアルNeural Engine

A20 Proチップ:デュアルNeural Engine

A20 Proの最大の進化点と言っても間違いないのが、大幅強化されたNPU「Neural Engine」だ。Neural Engineは常にシステムに常駐し、ユーザをアシストすることを目的としたAIエンジンである。このため性能だけでなく、極めて優れたエネルギー効率が要求される。M6に2基のNeural Engineが搭載された理由については、別のコラムでも解説したが、これはA20 Proにも当てはまる。

SiriやApple Intelligenceの実行を司る「AFM 3 Core」と、新設された強力なマルチモーダルモデル「AFM 3 Core Advanced」の両方を効率的に動かすために、Neural Engineが2基(16コアx2)に増強されたと考えられる。

一方、今回Neural Engineが新たにFP8(8ビット浮動小数点演算)をネイティブサポートしたことは、今後のApple製品にとって大きな進化だ。従来のNeural Engineは、FP16(16ビット浮動小数点演算)またはINT8(8ビット整数演算)をネイティブサポートしていた。(FP8も処理できるがネイティブではないため変換のオーバーヘッドが大きい)Geminiをはじめとする最近のAIモデルは、高性能化のためにFP8へのシフトが進んでおり、すでにライバルプロセッサのNPUやTPUではFP8のネイティブサポートが広がっている。

AFM 3では5階層のモデル全てがGeminiベースに移行したこともあり、オンデバイスモデル「AFM 3 Core」と「AFM 3 Core Advanced」にNeural Engineを最適化する上でも、FP8のネイティブサポートは必要不可欠だったといえる。

FP8のネイティブ対応によって得られるメリットは多い。例えばチャットであれば、指示を出してから返答がでるまで(トークン生成速度)の速度が3倍近くになり、そこからの文字出力も約2倍速くなる。つまり応答速度が大きく向上し、リアルタイムな対話体験が実現できる。

マルチモーダルも同様に、音声の翻訳や画像生成、動作生成なども大幅に速度が向上する。それでいてメモリ使用量が半減し、Neural Engineの処理速度が向上することで稼働時間が減少、iPhoneも熱くならず長時間使用時も性能が落ちにくくなる。もちろん消費電力も減ってバッテリ動作時間が延びる。

つまりFP8のネイティブサポートは、今後Apple製品が本格的にAI利用へと進む中で、避けて通れないプロセスだったわけだ。

そしてそれは、iPhone 18 Proのメモリを(iPhone 17 Proと同じ)12GBに据え置いたまま、より強力なAI(AFM 3 Core Advanced)を軽快に動かすことを可能にした。

トータル性能に大きく貢献するメモリ帯域の大幅拡張


A20 Proチップ:メモリ帯域幅を50%拡張

A20 Proチップ:メモリ帯域幅を50%拡張

このようにA20 ProではCPU、GPU、NPUすべてが高速化されているが、それを受け止める土台となるのがメモリシステムだ。Appleシリコンではすべてのプロセッサがメモリシステムを共有するUMA(Unified Memory Architecture)を採用するため、メモリアクセス速度の向上は極めて重要だ。

今回の発表の中で、Appleは「50% Increase in memory bandwidth」、つまりメモリ帯域幅を50%拡張した、とした。これはすなわち、メモリバス幅が従来の64bitから96bitに拡張されたことを意味しており、iPhone用Appleシリコンでは初のメモリバス拡張となる。逆に言えば今回、LPDDR6などの新世代メモリではなく、従来のA19 Proと同じLPDDR5X-9600が採用されたと考えられる。

A19 Proでは16bitバスのLPDDR5Xメモリを4チャネル並列動作させていたが、これを6チャネル並列とすることで1.5倍のメモリ帯域を確保していると考えられる。

実はこの96bitのメモリバス幅をA20 Proで盛り込んだのには、大きく分けて2つの理由があると考えられる。

1つはもちろん、メモリ帯域幅を向上させてiPhoneの性能を引き上げることだ。ここまで大きくプロセッサ性能が引き上げられると、当然それに見合ったメモリ帯域が必要になる。しかし今はメモリチップの価格高騰が続いており、入手性もかなり悪い。そこで12GBというメモリ容量は維持し、従来と同じメモリチップを使いながらもその帯域(アクセス速度)を大きく向上させたわけだ。

そしてもう1つは、A21 Proへの移行準備とも考えられる。というのは今後スマートフォン向けメモリの主流となるLPDDR6メモリでは、24bit幅が標準となることが決まっているからだ。

その場合、従来の64bit幅は実現できず、96bit幅が標準となる。A20 Proはこの流れを現行メモリであるLPDDR5Xのまま先取りした、と言えるだろう。

執筆:MysticRoom Tak.


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