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Ken Segall氏講演:『Think Simple』刊行記念セミナー クリエイティビティとイノベーションを生み出す熱狂的哲学

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Ken Segall氏

Ken Segall氏

2012年05月23日にアカデミーヒルズにて、Ken Segall氏による「『Think Simple』刊行記念セミナー:クリエイティビティとイノベーションを生み出す熱狂的哲学」が開催されました。

Ken Segall氏は、以前日本に来たのは、MACWORLD Expo Tokyoだったが、それ以来の日本来日となると話し、今回、Appleがいかにシンプルかに拘って成功してきたかということが分かると説明しました。


1997年のAppleは本当にひどい状態だったが、2011年8月には、世界でもっとも価値のある会社になった。その成功はシンプルに拘っていて、SONYのリモコンとAppleのリモコン1つを比べてみてもシンプルが貫かれているかがわかると説明しました。


Steve Jobs氏と12年間一緒に仕事をしてきたが、とてもチャーミングな人物だったことはあまり知られていないと話し、Segall氏は、Intel、BMWなど多くの企業とも仕事をしてきたからこそ、Appleという企業というのが具体的に分かるようになったと説明しました。


Think differentキャンペーンにあたっては、Steveは深くかかわり、その時に売るための製品は無かったのだが、このキャンペーンによって世界にAppleが戻ってきたことを知らせる事に集中したそうです。


これはAppleの本質を表していて、現在でも生き続けていると話し、iMacプロジェクトに参加して「i」という文字がつく企業の柱となる製品のネーミングの重要なキーとなったと語りました。

この「i」は「自分」を表し、Steveは人々の事を考えていたからに他ならないと説明しました。


Appleはシンプルであり、他の企業は複雑である。プロセスも複雑で成功が長続きしない。そもそも計画の段階におけるプロセスは重要ではなく、アイデアが素晴らしければAppleは良かったと話しました。

シンプルとは一件簡単なように思えるが、シンプルとは複雑なものを簡単にすることで、簡略化するといった目的が重要ではない。Steveは的をえた意見を言わない人には厳しかったそうです。


音楽を購入することについてMicrosoftと比較してみると、Appleは1曲99セントで販売し、Microsoftも同額で販売したが、これにMicrosoftはポイントも販売した。曲では無くてポイントを売ろうとしたので成功しなかった。何を売りたいのか?という根本的な方向性を見失ってしまった事例だと説明しました。


Appleは人間が持っている欲求に働きかけたいと思っていて、シンプルと複雑さは表裏一体で、その複雑な部分の一部がシンプルだと話し、1980年にSteve Jobs氏によるAppleという名前を選んだ理由について述べていて、シンプリシティを追求することに決めたからだと語っていることからも分かるように、製品だけでなく全てに渡ってシンプルであることを求めたと話しました。


書籍には10項目に分けて説明しているが、まず「Think Small」については、Steve Jobs氏は、大きな企業で働いているような振る舞いを許さず、スタートアップ企業の精神を求めていて、少数精鋭のミーティングでなければなかった。優秀な人物だけを集める事で強力な力を発揮していた。焦点を絞り、右から左へとまっすぐに向かうという極めて単純な目標を求めていたと話しました。

プロジェクトを進める手順として、一般的には意思決定権を持った人にプロジェクトが届くまでに、多くの会議の段階を踏む事無く効率性を上げるには、最初から意思決定権をもった人物が加わっていればよく、Steve Jobs氏は最初から関わっていることで、無駄な会議を行う事無く進めることが出来たと説明しました。

Steve Jobs氏は、ターゲットとなるフォーカスグループを作らず、顧客が欲しい物を作るのではなく、顧客が「ああこれが欲しかったんだ」と気付くような物を提供してきたと話しました。


「Think Minimal」については、Apple Magic Mouseを例にして、何もボタンはないが、多くの機能が備わっている。ラップトップ製品についても他社と比べてモデル数が極めて少ないのがわかる。Steve Jobs氏は、1998年に20種類以上あった製品を4つに絞り込みすると説明した。ようは製品ラインのシンプルにしたかったという意思表示だったと説明しました。


TBWA会長でクリエイティブディレクターのLee Clow氏のエピソードとして、紙つぶてを丸めて1個投げたらSteve Jobs氏はキャッチできたが、5個投げたら受け取れなかった。Lee Clow氏は「メッセージ1つに絞るということは重要である」と話し、Steve Jobs氏はその事を理解したと話しました。

多くの企業は、重いコンセプトや多くの言葉を多用しようとしがちだが、ウィットに飛んだ本物志向のメッセージをAppleは求めたと話し、Steve Jobs氏は一般の人が目にしないような部分にも拘っていて、その分野に関わる人が目にすると驚くと思う。そうした完璧指向はずっと求め続けていたと話しました。

Apple Retail Storeはシシリーの砂、アルミ素材は日本でしか手に入らない部材といった感じで、全てが完璧であり、全てに拘る事で、人間が感じる質を感じることがある。店舗1つにとっても妥協することはなかったと説明しました。


「Think casual」については、大きな企業では、なかなかイノベーションが生まれ難いが、Steve Jobs氏は足をテーブルに上げて会議に参加していた。それはフォーマルを嫌うSteve Jobs氏を表していると思う。なんだこいつはという印象を持つ人もいるかもしれないが、その行為は普段通りの姿のままから変わることなく、ラフな状況で参加していたのだと思うと話しました。

Steve Jobs氏はあまり辛抱強い人ではなく、当時12社の広告代理店を5社に絞り、最終的に1社だけにした。その1社は気に入っていた2社の話し合いで出来た新しい広告代理店だったと話しました。


革新のベースになるのはシンプルであることで、シンプリシティとは道を示す光のようなもので、それがぶれてはいけない。と話しました。iMacはコードネーム「C1」と呼ばれていて、最初に見た時は、これに社運をかけて良いのか?と思ったそうです。

Steve Jobs氏は最初「MacMan」という名前を考えていて最悪だと思った。WALKMANやPACMANを連想させてしまうため、その候補を変える必要があった。

何度もiMacを示したが拒否された。別の候補を上げてはiMacを再度提案した。MacManの方が良いよとSteve Jobs氏は主張したが、正式に名前が決まる2日前にiMacのシールを貼ってみせていたと聞かされたそうです。


製品名についてもシンプルでなければならない。Appleは少人数グループの精鋭部隊を複数作り、Steveを驚かせたいと考えている企業体だったと語りました。


その後林信行氏との対談が行われました、その中で気になった内容をメモ書きしておきます。

Steve Jobs氏は本音でぶつかってくる人で、結構大変だった。Steve Jobs氏はスタートアップの精神を持ち続けていて、大企業となるにつれて大企業らしくなる必要はない。ようはリーダーシップを発揮し続けることが重要で、悪の心にまどわされてはいけない。

Steve Jobs氏はThink differentのCMに早くから関わっていて「人類を前進させる」という言葉を追加することをSteve Jobs氏は求めたそうです。

Steve Jobs氏は「TECHNOLOGYとLIBERAL ARTSの交差点に立つ会社」という言葉を使うようになった、Steve Jobs氏についてネガティブな意見を言う人もいるが、彼が何をして人類を前進させたかについて目を向けるべきだと思う。

多くの企業はROIを直ぐに示せというが、Steve Jobs氏の場合はそうしたものは求めず、大きな製品を広めるためには短期的な視点では達成しえないことを分かっていた。

Steve Jobs氏は多くの社員を雇用したが、その中である女性の面接時に断った理由を尋ねると、彼女は質問をしなかったからだと話した。

Think differentに登場する人物を選ぶにあたって、世界的な慣習も考慮して批判的な印象を与えないように配慮する必要があった。それに関するエピソードとして、Steve Jobs氏はネルソンマンデーラ氏を出演させたいと考え、ビルクリントン大統領に頼んで交渉してもらったが結局断られた。

また、ロバート・レッドフォード氏については、Appleにとってビッグか?と議論になったり、候補としてウディ・アレン氏もリストに上がっていた。Steve Jobs氏は才能があるとは思うが、世間一般の印象としてネガティブな部分があるので止めた方が良いといった。

「i」はインターネットに簡単に接続出来ることがテーマにあったが、iよりもAppleから来んシュマー製品が出てきた事が重要





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