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加賀ソルネット「Final Cut Pro X セミナー〜業務用ファイルベースワークフローの最新動向〜」レポート

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加賀ソルネット

加賀ソルネット

2011年8月25日,26日にApple セミナールームにて、加賀ソルネット株式会社主催の「Final Cut Pro X〜業務用ファイルベースワークフローの最新動向〜」が行われました。

サードパーティより Final Cut Pro 7 から Final Cut Pro X (FCPX) になった事で変わった部分についての説明が行なわれました。FCPX はファイルベースの映像編集ワークフローのために、1から新設計された業務用編集アプリケーション。このために、現時点では FCP7 よりもパワーダウンしている機能 や ファイルベースのワークフローに合わないために削られている機能が幾つかあります。


テープなどのベースバンドメディアからのデジタイズ (キャプチャ) について。

これまで RS-422 でデッキと接続することで詳細なTimeCodeを指定しながらの制御デジタイズが可能でしたが、FCPX ではこの部分がバッサリと切り捨てられて FireWire 経由のデジタイズのみがサポートされています。


VTR Xchange

VTR Xchange

この部分を保管するのか ビデオカードを開発している AJA社が用意している「VTR Xchange」や、Blackmagic社の「Media Express 3」。共にフリーウェアであり、自社のビデオカード経由でTCを参照しながらのバッチキャプチャなどを可能にするアプリケーションです。


Thunderbolt 経由でデジタイズする UltraStudio 3D は製品箱も完成し、出荷目前

Thunderbolt 経由でデジタイズする UltraStudio 3D は製品箱も完成し、出荷目前

これらのアプリケーションを利用することで、これまでと変わらぬ精度でのテープからのデジタイズが可能であり、デジタイズによって出来たファイルは FCPX にて編集が可能です。もちろん、これらのアプリケーションを利用することによってテープへの書き戻しも可能です。


KiPro

KiPro

また、デジタイズだけを考えれば良いのであれば、シューティングの時点で AJA社の「KiPro」や「KiPro mini」、Blackmagic社の「HyperDeck Shuttle」などのポータブルレコーダを利用するという手も有ります。


同時にマルチcodec でのエンコードを実現する 「HurryCapture 3」

同時にマルチcodec でのエンコードを実現する 「HurryCapture 3」

さらにソフトウェア的に複数のcodecへ同時に書き出したい場合には、株式会社パオックスの「HurryCapture 3」のような業務用キャプチャ ソリューションを利用する事も可能です。

これはソフトウェア的なキャプチャツールですので、タイムコードが切れている部分で書き出すファイルを分割させたり、特定時間ごとにファイルを分割、収録中の追い掛け再生など、多彩なオプションを含むデジタイズが可能になります。


続けて編集中のプレビュー・モニタリングについてです。

FCPX ではサードパーティのビデオカードを使ってリアルタイムにプレビューする機能が搭載されておらず、またPCのディスプレイに出力されるモニタリング信号も RGB だけとなっており、放送で利用される YUV には非対応です。


このために、AJA KONA の v9.0.2 βドライバ 以降、BlackmagicのDesktop Video 8.2 以降 を利用することで FCPX のセカンドモニター出力を利用してPreview Windows をSDI経由で業務用マスモニに出力することは出来ますが、これらの機能でサポートされているのは RGB を YUV に戻して出力するという動作ですのでリアルタイムプレビューは出来るものの色表現の正確性については多少の疑問が残ります。


Final Cut Pro X

Final Cut Pro X

さて、既存環境への対応はサードパーティの力を借りつつ、次世代のテープレスなファイルベースワークフローへ最適化され、再設計されたのが Final Cut Pro X

64bit 環境に完全対応した上に、GCD (Grand Central Dispach) に対応したことでCPUパワーを効果的に完全に使い切れる設計となっています。また、サポート解像度についても 4K までのフルサポートを実現しました。

起動して、最初に気付くのは1モニターインターフェイスとなった事。これまでの FCP がVTRとの親和性を高めるためにレイヤーを重ねて行くという編集方法を採っていたことを一新し、FCPX においてはタイムライン全体を見渡しながら適切なタイミングで、適切な素材を並べて行くという編集方法になったためです。既存環境と比較すると違和感が有りますが、編集に対する取り組み方が変わっているという事を理解すると分かり易いでしょう。


また、この変化と併せて採用されたのが「スキミング」機能のサポート。これは、カーソルが有る部分の映像が常時プレビュー可能という機能です。ただし、これは操作のためにマウスカーソルを動かすたびにプレビュー表示が変わってしまうので場合によっては鬱陶しいという問題も有ります。

このために、キーボードの「S」がスキミング機能の On/Offトグルスイッチに割り当てられています。全体から編集する素材を探して絞り込む時には スキミング機能を On、編集する場所を決めて細かく取り組む時には スキミング機能を Off とすると良いでしょう。


素材を探したり、編集点を記録するために取り入れられたのがキーワード。映像のファイルや、タイムラインにキーワードを当てることでキーワードでの映像検索が可能になる他に、FCPXへファイルを取り込む際に 人物認識 (People Detection) オプションを有効にしておくことで、ショットに映っている人数などでもファイルを絞り込み・検索する事が可能です。


検索された映像に In/Out点を打った際、これまでであれば メディア に In/Out点の情報が自動で残りましたが、FCPX では残らずに別のメディアに触れた時点で設定したIn/Out点が消えてしまいます。In/Out点を残すためには、In/Out点を打った後にキーボードの[F]キーを叩いてお気に入りとしてマークする必要が有ります。こうすることでIn/Out点が記録されて残ります。


他にも、Color では 8ch しか設定できなかった色修正が FCPX に統合された色調整ツールでは無限chに渡って修正出来るようになっていたり、複数の類似映像からベストショットを比較して選び出す「オーディション」機能が搭載されるなど、FCPX には次世代に相応しい新機能も数多く搭載されています。


なお、Apple がコミットしているマルチカム編集機能の復活など、約束されたアップデートは現在鋭意開発中。時期は未定ではあるものの、コミットした機能はキチンとした形でリリースされるという事でした。


Apple「Final Cut Pro X」製品説明 from Macotakara on Vimeo.


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