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モリサワ、リョウビのフォント事業譲渡を受け「モリサワパスポート」へのタイプバンク・リョービ製品の統合について説明

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固く手を握り、末長い事業の継続を約束した 株式会社モリサワ 森澤彰彦 代表取締役社長 と リョービイマジクス株式会社 筆谷清隆 代表取締役社長

固く手を握り、末長い事業の継続を約束した 株式会社モリサワ 森澤彰彦 代表取締役社長 と リョービイマジクス株式会社 筆谷清隆 代表取締役社長

2011年8月10日に株式会社モリサワによる、2011年度下半期事業報告記者会見が行われました。

まずリョービ株式会社ならびにリョービイマジクス株式会社が行なっていたフォント事業の株式会社モリサワへの譲渡の発表が行われました。

リョービのフォント事業は、モリサワと同じように写植機のフォント開発から始まっており、非常に長い歴史と数多くのユーザがいる事業。しかしながら、リョービの成長する方向性とは一致せず、また新規投資を継続し続けるだけの著しい成長が起きることも考えにくい事から「今後も責任を持って事業を継続してくれる企業」としてモリサワへ事業を譲渡する事になったという事でした。

譲渡される内容はリョービフォント全136種類を基にしたフォント事業に関する知的財産権や販売権、営業権などの一切の権利と、フォント事業に関わっていた6名の全スタッフ。スタッフは譲渡完了後に、モリサワ東京本社での勤務となる予定です。なお、譲渡手続完了は2011年10月01日を予定しています。


続けて、株式会社タイプバンクの株式取得による完全子会社化手続が完了したと発表が行われました。

この手続きは2010年01月には合意に至ったことで手続きが開始され、2010年4月には完了していました。しかし、正式発表をする機会がなかったために、このタイミングでの発表となりました。

株式会社タイプバンクは子会社となりましたので、これまで販売してきたフォント製品の販売やサポートなどについては株式会社タイプバンクが継続して行なうことになります。

さて、以上の発表を受けた上での株式会社モリサワとの統合についてですが、リョービの資産については2011年10月01日から半年から1年ぐらいの時間を掛けて順次作業を行なわれます。


リョービフォント全ラインナップは「モリサワ」か「タイプバンク」に移動する

リョービフォント全ラインナップは「モリサワ」か「タイプバンク」に移動する

リョービのフォント資産のうち、モリサワのフォントラインナップに足りなかったスタイルを持つフォント資産はモリサワブランドへ統合、その他の資産は株式会社タイプバンクのラインナップに統合されます。

つまり、リョービの全資産はモリサワかタイプバンクのラインナップに統合されますが、どちらに統合されるかはフォントのスタイルと今後のロードマップに因る事となり、知名度での選択は「考えていない」という事でした。


現時点で明確になっている変更点の1つ目は、一部フォントの改名。リョービのフォント資産のうち、フォント名に「リョービ」という名前が入っているものについては「社名については利用権が無い」ために早い時期に改名されます。

現時点で明確になっている変更点の2つ目は、フォントの構造について。リョービ資産を統合する過程においてモリサワ・タイプバンクの開発手法、管理手法に合わせるための変更作業を行ないながらの統合が行われます。このために、これまでの構造と 100%一致するかどうかの保証は出来ないという事でした。

なお、これらの変更は行なわれますが、変更を行なっても影響は最小限になるべく作業と努力、そして広報活動を行なうという事でした。

さて、モリサワにおけるフォント事業の強化の意義についてですが、その名を知れ渡るようになったDTPや印刷業界については「これからの重要な分野では有り続けるが、著しい成長は考えにくい。また、新しいフォントをリリースしたからと言っても、一朝一夕に変える事が出来るものでも無い」という事で、成長は非常に鈍化しているという判断となっています。

ただ、フォントというものは「ラインナップや資産、経験などを考えると、新規参入は相当難しい分野でもある」ので、膨大なフォント資産を活かす分野を新規開拓することで成長を維持し続けるのが目標という事でした。

市場の新規開拓について、まずモバイル機器などの組み込みが考えられますが、この分野での営業活動についてモリサワとしては出遅れたものの、リョービは数多くの分野での成功事例を持っていることから今後の営業統合に伴ってリョービの経験を活かして行きたいという事でした。

iOS や Android などの既存環境へのフォント提供については、「MCBook」のように出版環境を整えることでコンテンツホルダーが利用しやすい環境を整えるソリューションでの提供を今後も行なうということでした。

さて、モリサワのフォント製品といえば近年では「モリサワパスポート」ですが、こちらへのタイプバンク・リョービ製品の統合についてです。

まず、前提条件として「ラインナップ数の多さだけを競うことはしない。スタイルの重複を無くして、バリエーションを増やすことに注力する」というのが方針。

このために、まず2011年09月に予定しているアップデートにおいて、タイプバンクのフォントから数種類がパスポートへ導入されます。続けて2012年のアップデートから、モリサワ・ブランドへの統合作業が完了したリョービフォントが順次導入されていきます。この時にもタイプバンクフォントからも導入が行われる予定ですが、タイプバンクフォントが全種類パスポートに導入されることは有りません。また、モリサワフォントとの重複していると判断された事によってタイプバンクへ統合されたリョービフォントはパスポートへの導入は行われない事になります。

以上が、フォント事業の統合に関する発表でした。


Web でフォント表現を実現する Webフォント技術

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続けて、Webのコンテンツへ フォント によるデザインを持たせることが出来るクラウド型Webフォントサービス「TypeSquare」(仮称)のサービス開始について。


フォントを利用することで、Web の表現が更に向上する

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このサービスについては、2011年度内の開始を目指して開発作業が行なわれているそうです。しかし、これ以上の情報については「然るべき時に発表」ということでした。


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