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January 2002 MACお宝鑑定団 
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オリジナルは「The Power of X Presentation」で放送されています。

The Power of X Presentation

・ おはようございます。アビー&フィルショーにようこそ。これからの午後までのひとときを私達のトークで楽しくお過ごしください

フィル:昨日発表しました通り、今月(2月)発売のマシンからMac OS Xがデフォルト起動オペレーティングシステムになりました。私達はそのことで非常に喜んでおります。

このことと最近9ヶ月の技術的進展を受けて、今回急きょMac OS Xについてもっと技術的観点から皆さんにお伝えする場を設けることになりました。今回IDGグループの御支援を受けてその為のセッションを設けることが出来たことを非常に嬉しく思います。

ここではMac OS Xの力、その信頼性、何故私達がこのシステムを向こう10年間のMacintoshのデフォルトシステムとして採用しようとしているのかについて、その技術的な裏づけについてお話したいと思っています。

もしかすると今日ここにはMac OS Xに今まで全く触れたことが無い方もいらっしゃるかも知れません。ですが、今回のセッションはそうした方向けの発表会ではありません。そうした方向けの説明については小さいブースを設けましたので、そちらで実際のマシンを使用しながらお聞き頂けますので宜しくお願いします。今日のセッションはもう少し技術的に「深い」ところの話になります。

アビー:フィルはなにかこれからここでヲタクな話が始まるようなことを言っていますけど、僕にとってはこれから話すことは極めて「普通」な話題なんですけどね。(ここでスクリーンに「ヲタク発言中」の文字、場内爆笑)

フィルが言いたいのはここから先は技術的にちょっと細かい話になると言うことだと思うんですが、むしろ普段Mac OS Xを使っている時にはそこにあるのに見えない、その存在にさえ全く気が付かない技術について話そうと言うことなんです

フィル:その通りですね。これから小一時間に亘ってお話しようとする内容なんですが、まずMac OS Xの背後に存在する心臓部でありエンジンであるコアオペレーティングシステムについてお話します。そしてメディアレイヤーについて、OSに使用されているいくつかのメディアレイヤーについてお話します。また最近極めて重要視されているセキュリティーについて、新しく導入されたユーザーインターフェースであるQuartz、Aquaについてもお話します。そしてプログラミング環境やアプリケーションにつて、Cocoa、UNIX、Javaさらにはそれ自身が強力なアプリを作れるプログラミング環境であるAppleScriptについても説明します。

ではまずオペレーティングシステムのコアから始めましょう。コアオペレーティングシステムはMac OS Xの不倒の心臓部とも言うべき存在で、これを将来に亘って強力で安定したプラットフォームにする為に多くの驚くべき技術が用いられています。

アビー:じゃあまず最初にソフトウェアの一番基本の土台の部分から始めましょう。この部分をカーネルといいます。

カーネルは言ってみれば裸のハードウェアとその上に乗っかっているビジュアルインターフェースの階層や他のアプリケーション階層とを分けている階層です。

僕がMac OS Xのカーネルで面白いと思うことは、誰もその存在に気付くことはないのにそこに使われている多くの新技術の恩恵を利用者のみんなが受けているという点です。

そして私達がカスタマーから頂くMac OS Xへの 改善要望のかなりの部分について、カーネルが関係していて、重要な影響を及ぼしていることにも議論の余地がありません。

例えばメモリ分野におけるメモリ保護、仮想記憶について考えてみると、これら2つの重要なテクノロジーはMac OS Xの使用感を改善する為に導入されたものです。その結果アプリのクラッシュがなくなり、アプリのクラッシュによってシステム全体がダウンすることもなくなり、他のプロセスや動作を怪しくすることもなくなりました。

仮想記憶に関していえば全てのアプリケーションが動作に必要なメモリを、実際にコンピュータに物理的に搭載しているメモリの量を越えて確保することを可能にします。なぜならシステムが全てのアプリケーションの為にメモリを仮想化しているからです。

CPUの制御について言いますと、デュアルCPU、マルチプルCPU環境下では、システムは高度な技術を用いてどのアプリケーションがどのCPUをいつ使うのかといった仕切りを行います。これによってあなたのマシンの箱の中にCPUが2つ入っている時、どのアプリがどのCPUを使うのかを決められるようになり、本当の意味で2つのCPUを同時に使うシンメトリック・マルチプロセッシングといった高度な芸当を実現することができるわけです。またこれによりアプリケーションのマルチ・スレッド化、マルチ・タスク化を容易に実現出来、アプリケーションひいてはシステムの動作の円滑化を期することもできます。

ただOSのこうした仕様によって、他の特長が実現できなくなることもあります。しかしながら同時に私達はリアルタイム性のサポートに細心の注意を払い、OSがどのプロセスをいつどの様に走らせるのかといったことを管理しつつ、アプリケーションの作業のリアルタイム性を優先させる必要がある場合にはOSがカーネルにそう指示し、カーネルは指示された作業を優先して全てのCPUを動員したリアルタイム・プロセッシングを行うようになっています。

具体的な例をお見せしましょう。(テバニアン氏マシンの前に移動。)

まず私が最初にやることは、(画面デスクトップに切り替わる)画面の上に何か装置みたいなものがあるでしょう。これはCPUモニターと言う物なんですが、とりあえずデスクトップの右上にこのまま置いておきます。CPUモニターはCPUの動作サイクル数を表示するようになっていて、CPU一本毎にバーが一本表示されるようになっています。今はCPUがアイドリング状態なのでバーに一番低い位置にありますが、このように(画面上でウィンドウをドラッグ)ウィンドウをドラッグしてみれば(CPUモニターのバーが上昇)こうした動作がCPUに負担をかけた対価として実現することがお分かり頂けると思います。

今度はQuicktimeムービーを起動、再生してみましょう。(デスクトップの左上でスパイダーマンの予告編が始まる。CPUモニターのバーが上昇)そうしますとムービーをレンダリングして再生するためにCPUの一部が使用されることがお分かりになると思います。この時CPUの全ては使っていません。なぜならQuicktimePlayerがこの映像を映すのにその必要がないからで、残りはCPUの再生と同時に他の作業を行う必要が有る時に使われるわけです。

御覧になっている画像が動いている間、一方のCPUが動作し、もう片方のCPUが完全にアイドリング状態になっている訳では無く、QuicktimePlayerの動作のための計算をCPU間でタイム・シェアリングし自動的に分散して処理しているのです。(二本のバーが独立して上下するのが分かる。)まあこんな感じです。

他のものも見てみましょう。同時にiTunesを立ち上げてみます。実はこのマシンにはもうCDが入っているのでiTunesのimportを選択してCDの中身を丸ごとCDRに焼いてみることにしましょう。(iTunes上でコピーの作業が始まる。CPUモニターのバーは二本とも各々の調子で上がるが、まだ上限には達さない。)ごらんのようにCPUの負荷はあがりますが、まだ余裕がありますね。ここで見て頂きたいのはiTunesの動作による負荷が2つのCPUに均等に分散されている点です。またQuickTimePlayerの再生の方も引っ掛かりの発生もなく順調ですね。

続いてInternetExploerを立ち上げてみましょう。ご期待の通り問題なく動作します。注目すべきは全ての動作はスムーズなままだということです。ここでQuickTimePlayerを全面に出して、さらにプルダウンメニューを出してみましょう。(プルダウンメニューで隠れている画像の部分が透けて動いている。)メニューの向こうにQuickTimePlayerのレンダリングが透けて動いているのが分かりますよね。こうした「透かし」の処理はCPUに寄り一層の負荷を強いるのですが、新しいCPUが強力なんですね。特に問題がないようです。

繰り返しになりますが何の問題も起きないのはスケジューラ機能を装備しているからです。

さらに負荷を上げるためにInternetExplorerでウェブサイトにアクセスし、ムービートレーラーをダウンロードしてIEの中でQuickTimePluginを使って映画を再生してみましょう。これとは別に先ほどの QuicktimeMovieの再生とiTunesでのCDのリッピング作業も続行中です。安定していることを示すためにしばらくこの状態にして放って置いてみます。(システム、何の問題もなく動き続ける。)これを御覧頂ければ如何に先進的なシンメトリック・マルチプロセッシングシステムであるかがお分かりになると思います。

では続いてもう一つの特長である、メモリ保護機能についてご説明したいと思います。仮にここで動作しているInternetExplorerがフリーズしたり、落ちてしまったり反応しなくなってしまったりしたとします。そんな時でも該当するアプリケーションを終了させてやれば他のシステムの動向については全く気にする必要がありません。ここで強制終了ウィンドウを呼び出してInterneteExplorerを終了させてみましょう。「Bang!」(IE、強制的に落ちるが他のアプリはそのまま動いている。)ごらんのように他のストリーミングやCDのリッピングの作業は全く影響を受けずに動作しています。

ここで強制終了用のウィンドウに注目して下さい。メニューの中に「Finder」っていうのがありますね。ここにこのOSの別の意味での堅牢さの証明があります。ここでFinderを終了して再起動させてみましょう。ムービーの再生やiTunesの作業はそのまま続いてます。(Finderのウィンドウが閉じると同時に背景も青一色になり、すぐにFinderのウィンドウも背景も復旧する。QuickTimeとiTunesは何事もなくそのまま動作している。)ごらんのようにFinderを強制終了、再起動しても全てはそのままです。何も問題ありません。(場内拍手)

フィル:御覧頂いたように私たちがモダンで強固でクールなOSを開発していることがお分かりいただけたと思います。続いてカーネルに加えてコアシステムの中の主要な要素であるファイルシステムについてもご紹介したいと思います。ファイルシステムというのは皆さんにとっては普通それについて考えたこともなく、パソコンの中に存在して動いているものなのではないかと思います。ですが、MacOSXでは今までになく革新的で堅牢で高機能なファイルシステムを搭載しているのです。

アビー:ファイルシステムと言うのは非常に面白い分野で、パソコンを使う時にはその機能から大きな恩恵を受けているのですが、実際に使っている分にはそれが何をやっているのか分からないような所があります。MacOSXのファイルシステムで画期的な点はモPluggableモだという点です。これはどういうことかと言うとAppleの関与無しにサードパーティーが新しいタイプのファイルシステムを取り扱う為のコードを追加することができるということです。私達自身が多種多様なモout of the boxのモファイルシステムを追加する為にこのメカニズムを利用しました。サードパーティーもこれを使って自分達が必要とするファイルシステムを容易に追加することが出来るでしょう。

ではMacOSXの枠の外(out of the box)で何が出来るのかお話しましょう。まずローカルファイルの場合についてですが、ここでローカルというのはハードディスクやCDROM、DVDといったものの上にあるファイルのことです。もちろん私達は伝統的なMacのファイルシステムであるHFSやHFS+をサポートしています。ですがそれだけではなく「枠の外の」のDOSのFATファイルシステム、UNIXファイルシステム、DVDのUFSフォーマットシステム、ポピュラーなISOのCDROM規格もサポートしているし、とにかく何でも動きます。

ネットワーク環境の場合について申し上げましょう。私達はしばしばネットワーキングプロトコルやネットワークファイルプロトコルを使ってサーバ、特にファイルサーバに接続します。Appleはこれらについても充分にサポートしていきます。AFPつまりアップルファイリングプロトコルをサポートします。「枠の外」についても標準であるファイリングプロトコルをサポートしています。ですがそれを越えてさらにUNIXで一般的なNFS、Windowsで用いられるSMB/CIFS、さらにはHTTPに基づいて新しい標準ファイルプロトコルであるWebDAVにも対応しています。

私達はこうしたものをその由来に関わらず、どのプロトコルを使うにあたっても皆さんがMacintosh特有の使い勝手のまま利用出来る様に配慮しました。こうした配慮は非常に重要です。なぜなら皆さんのデータはWindowsサーバ上にあって、皆さんはそれを他のWindowsユーザと共有しなければならないかも知れないからです。みなさんはWindowsユーザのお友達とそのサーバ上でデータをやり取りをしなければならないでしょうし、その時に慣れ親しんだMacの使い勝手でそれを行うことが出来た方がいいからです。

同様に私達のファイルシステムはUnicodeに対応しており、スレッドセーフで完全にインターナショナル対応にもなっており、さらにマルチプル・アプリケーション機能によってファイルシステムを高いパフォーマンスのもとに扱うこともできます。またこのファイルシステムはUNIX由来のセキュリティシステムで保護されていることも最後に付け加えておきたいと思います。

フィル:最初に話がヲタッキーになるかもしれないって言っといたでしょう。(場内苦笑)

ファイルシステムに続いてOSのコアになっているネットワーキングサポートについてお話しましょう。

MacOSXには最も堅牢なインターネットにも適用されている用いられている BSD TCP/IP スタックが用いられています。またMacOSXにおいてはネットワークのプロトコルもまたモPluggableモになっており、技術の進歩に応じて必要なネットワーク・クライアントを後から追加することができます。そのようにして既に実装されているのは完全に自動化された10BaseT/100BaseT/GigabitのEthernetです。また802.11ワイヤレス・ネットワークは追装されたのではなく完全にシステムに統合されており、そしてダイアル・アップ用のPPP、DSL ケーブルモデム 用のPPPoEをサポートしています。またレガシー・デバイスへの対応としてAppleTalkとIrDAに対応しています。これらはすべて最大のパフォーマンスを実現するためにマルチスレッド化されています。

そしてスライドの終わりの方にある3つの機能、マルチリンク、マルチホーミング、そしてダイナミックに(コンフィグレーションを行う)能力が意味するのは、これらによって皆さんの代わりにネットワーク設定を自動的に行えるということで非常に優れたものです。みなさんがモ out of the boxモのEtnernetに繋ぎ、ワイヤレスに切り替え、次にダイヤルアップ接続を行ったとしてもその都度設定を切り替える必要はありあません。自動的に最も早く接続できる方法を選びだして、その方法で繋いでくれるのです。

ですからデフォルトでEthernet接続している時も、PCからケーブルを抜けばAirportに繋ぎ替わるようになっているので、設定を切り替える必要はありません。

アビー:今ここで多くのテクノロジーについて話していますが、そうしたテクノロジーに関する説明と言うのは確かにオタク向けの話題です。ですが、私が申し上げたいことは「テクノロジーは、それを使う人が使いこなせなければダメだ。」ということです。私達は高度なテクノロジーをOSの中心に詰め込みましたが、それを囲むようにそうしたテクノロジーを「簡単で使い易くする為の仕掛け」を配置するのを忘れませんでした。どう言うことかというと、みなさんはそうした仕掛けのお陰でそうしたテクノロジーの恩恵を受けられる訳です。例えばデバイスとPCの「プラグ&プレイ」がそうです。普段皆さんがFireWireデバイスやUSBデバイスを使う時、それをPCにつなぐだけで動くわけです。

新しい興味深いテクノロジーを導入した時、しばしば結果としてアーキテクチャー全体の速度低下を来すことがあります。しかしこれは私達開発したシステムのI/O(インプット/アウトプット)にはあてはまりません。私達は優れたアーキテクチャー・テクノロジーによって全てを制御し、結果としてネットワークシステム、ファイルシステムのどちらのスループットも犠牲にせずに済みました。

アビー:またlatencyが非常に小さいことも重要です。PCが入力にすぐに反応するかどうかについて考えてみましょう。すぐに反応しないのであればその使い勝手はクールであるとは言えません。MacOSではinterruptionを分割し、interupt levelの高速化を図ること等で低latencyを実現しています。

同じように、PowerBookを持っている多くの皆さんはお分かりだと思いますが、持っていない方は今すぐ手に入れられることをお勧めしますが。(場内笑)PowerBookはふたを閉めるとスリープし、開くとすぐに復帰します。私達が自社の製品に実装したいと考え、実際に備えている機能と言うのは、皆さんがそこまで期待しているかどうかは別にしてもそうした(行き届いた)ものなのです。また皆さんがOSとアプリを使う上で要望の多いロングライフ・バッテリーといった技術等様々な技術を統合して採用しています。これらは私達にとっての将来への布石になると同時に、デベロッパーの皆さんが独自の技術を持ち込み易くするためでもあります。

フィル:コアのレベルについてはそんな処ですが、では今度はもう少しOSの浅い層に位置するメディアテクノロジーについて話しましょう。Mac OS X内部に存在する多様なメディアテクノロジーを利用できるということからユーザーのみなさんはより直接的にそのメリットを受けることができます。一つのOS上で多くのメディアを利用できると言う事実は新しいOSの標準を打ち立てたと言えるのですが、またそれらのテクノロジーはOS自身と非常に深い部分で巧妙に結びついています。

(画面上のリストをさして)これらはMac OS Xがつむぎ出すメディアテクノロジーの内、私達ユーザにとって特に重要なもののリストです。2DのためのQuartz、VideoのためのQuickTime、3DにはOpenGL、完全に新しいシステムに備えられたオーディオアーキテクチャ、すばらしいフォントレベルのサポートこれは非常に多くの種フォントタイプを網羅します。そして完全にシステムと一体化したColorSyncによって表示される画像の全てはカラーマネージされています。そしてカメラからのイメージキャプチャ機能と非常に多くのデバイスサポートです。

アビー:じゃまたこのあたりの話題をヲタク的見地からお話しましょう。まずQuartzについて。まず御理解頂きたいことはQuartsに関係しているものの全てはPDFに依拠しているということです。どういうことかというとユーザーが行うことの全てはPDFデータのインポート、またはエクスポートとして取り扱えるということであり、全ては強力なPDFのデータ形式でやり取りされると言うことです。つまりMac OS X上のアプリケーションは全てPDFを利用し、且つ作製することができるということで、これは今後Mac OS XにとりまたOS X上でアプリケーションの開発を進めていく上で非常に重要なことだと思います。

私達は本当に素晴らしいテクノロジーをそこに持ち込みました。例えば画面に表れる全ての画像はモQuartzモによってアンチエイリアス化されています。このことによって妥協することなしに画面の見栄えを良くし、同時に描画を高速化することができました。

次にフォントです。私達は実に多くの種類のフォントをサポートしました。TrueType、あるいはType1またはOpenTypeであろうと何だろうとフォントをシステムにドラッグすれば使えるようになっています。

ColorSyncはシステムと非常に深く統合されています。画面に表示される全てはそれによってカラーマネージされており、その見栄えは最高です。

次にCompositingです。CompositingはQuartzのすばらしい機能の一つです。多様な複数のイメージ、そしてイメージだけでなく、PDF形式等のグラフィックスを非常に面白い、しかも実用的な方法で一括して処理し、透明度の変更やその他の処理を行うもので素晴らしいユーザーインタフェースの実現に一役買っています。

また皆さんが座ってじっくりOSXを使っていると今までと違う画面のスムーズな動作に気付かれるかと思います。例えばボタンが急に表示されたり消えたりしたり、ウィンドウが半分だけ描画されるといったことを見ることはないはずです。このようなひっかかりが発生しないのはdouble bufferingという技術の採用の成果です。これは内部で一度描画を行い、それが完了してから画面に表示する仕組みで、それらの動作を一つのスムーズな流れとして実現します。こうした仕組みはコンピュータの全体の使用感に大きな影響を与えています。

そしてウィンドウのレベルにおいてはピクセル毎のアルファ設定とフェードアウトレベル設定が用意されています。これによって全てのウィンドウにおいてピクセルレベルでのアルファと透明度を制御できるということです。これによって本当にすごいことが可能になります。

他のユーザーインタフェースが備えている素晴らしい効果、例えばウィンドウの半透明化効果や画面が縮んで収納されるジニーエフェクトと行った効果はみなQuartzにビルトインされているので、ウィンドウやアプリケーションは皆それらを活用することが出来ます。

それだけじゃありません。Quartzのこうした機能はその印刷機能と完全に統合されています。Quartzには画面に描画したデータを自動的に変換して高品質な印刷を行う機能が備わっており、グラフィックスをアプリケーションで印刷する時、そうしたアプリケーションにはそうした機能が全て備わっていることになるのです。

フィル:今の説明でQuartzイメージング・モデルの中でも根幹を占める重要な機能がPDFであるということがお分かり頂けたと思います。ではここで簡単なデモを行ってMac OS対応アプリでビルトインされたPDFがどのように動作するのかを見て頂きましょう。非常にシンプルですが、その機能は強力です。

まず一番分かり易い例として皆さんも大好きなOSX対応の新製品Word for Xでドキュメントを作ってみましょう。(画面にはWord for Xの作業画面とそこで作られた美しいドキュメントが表示される。新ブランドをリリースしたアパレルの広報ペーパーを想定したものらしい。)

このようにOSX上で表現豊かで美しいドキュメントを作ることができました。じゃあここでこの素晴らしい仕上がりを他の人にも見てもらいたいと思ったとします。でもその人がどんなドキュメント作成プロセスを使っているか分からない、どんなフォントを使っているのか分からないとしたら、でも美しい仕上がりでドキュメントを見てもらいたい。そんな時どうすればいいでしょうか?

そんな時こそAdobe社が開発したインターネット上の標準的なドキュメント形式であるPDFを使えばいいんです。

OSX上のあらゆるアプリケーション上で、当然モOfficeモにおいてもプリントメニューからプリントダイアログを呼び出すとそこに「プレビュー」ボタンがあります。印刷機能を持つアプリケーションにはシステムが自動的に「プレビュー」機能を付加するんです。この「プレビュー」ボタンをクリックすれば「プレビュー」アプリケーションが自動的に立ち上がります。この様にWordで作成されたドキュメントも複数ページ形式をサポートしたPDF形式に変換して元のドキュメントと寸分違わぬ形で表示してくれます。このドキュメントは正真正銘のPDFなのでドキュメント自身にフォントが同梱されています。ですからPDFを誰に渡そうがメールしようが先方ではオリジナルと全く同じ美しい状態で再現されるんです。そしてこの機能は「全ての」アプリに備わっています。

アビー:フィル、君が今デモしたアプリはワードプロセッサなんだからドキュメントを再現できるのは当たり前じゃないか。一体何を偉そうに言ってるんだい?

フィル:一体何を言っているかって?実は今説明した機能と言うのはアプリのデベロッパーが一所懸命に頑張って実装した機能じゃないんだ。つまり僕がこの印刷の時にPDFを作成出来る機能というのはOSX上のどんなアプリにでも備わっているということなんだよ。ちょっとやってみよう。あんまり思い付かないことかもしれないけれどもチェスの中盤になった時なんてのを考えてみて下さい。Mac OS Xに付いてくるチェスのアプリを起動して、対戦途中に一旦セーブしたデータを呼び出します。(アプリが起動、画面上にチェスの盤が表示される)ここで私は手づまりになってしまっていて次の一手を考えあぐねているとします。ただ私はハーフムーンベイの向こうに住んでいるチェス名人を知っていたので、彼にEメールでドキュメントを送って助けを求めようとしたとします。

私は「チェス」アプリが印刷機能をサポートしているのを知っているのでプリントメニューからプレビューを選びます。そうすればこのように「プレビュー」アプリが起動してこのように対戦中のチェスの盤がPDFで表示されました。(オリジナルのチェスの盤面の上に「プレビュー」が表示した全く同じチェス盤の画像が重なる。)PDFであれば名人はたとえマックを持っていなくてもチェスアプリを開いていなくてもこの画面を見られるので、私にアドバイスをすることが出来ると言うわけです。

このようにプリント機能を有するアプリならばどんなものでもPDFを作成できますので、その機能を使って世界中あらゆる所にいる人とドキュメントを共有できるのです。

アビー:PDFのサポートはMacOSに備わった機能の中でも非常に重要なものです。なぜならPDFはどこにでも送ることが出来、セーブするのも簡単だからです。分かりやすい例でいいましょう。すごいウェブページを見つけたとします。そうしたらそのPDFを作っちゃうんです。コマンドとPでプリントして「プレビュー」すればPDFが作れます。一旦PDFで保存してしまえばそのウェブページがいつの間にかなくなってしまうことも心配しなくてもいいし、誰かにそれを送るのも簡単です。後はそのPDFさえあれば一々オンラインでそのウェブサイトにアクセスする必要もありません。

私が申し上げたいのは、ほとんどの人たちがPDFの技術的な側面については知っていても、それを利用することで全く新しい仕事のすすめ方(ワークフロー)が生み出される可能性が有るということには気付いていないということです。(場内拍手)

フィル:次はオーディオに関する説明に行きたいと思います。私たちはMacOSXに全く新しい組込みのオーディオシステムを導入しました。この分野はデベロッパーからの改善要望が特に強かった分野でしたので私たちは非常な努力をし、結果として非常に素晴らしいオーディオアーキテクチャを完成させるに至りました。

その結果がまず32bitの audio resolutionです。これは殆どのプロ用アプリケーションがサポートしている24bitを凌駕したフルの32bitのaudio resolutionです。

そしてマルチ・チャンネル機能です。これによってアプリにいくつでも音声チャンネルを付加することが出来ます。5.1サラウンドチャンネルはもとより、10.2といった他ではまだ発想にさえ出てきていないような仕様にも対応可能です。

次にご紹介する機能は超低レイテンシです。プロユーザの要求するクイック・レスポンスをミリ秒未満のパフォーマンスによって実現しています。この辺りについてはこの後すぐデモで御覧頂こうと思います。

そしてvelocityengineです。超高速のパフォーマンスを備えたG4に実装されたvelocityengineを使ってコア・オーディオ・エンジンの各要素の高速化を実現しています。

また多くのデベロッパーから対応を要求された技術としてリアル・MIDI・アーキテクチャとMIDIサービスの実装がありました。今やMIDIアプリケーションをその上にビルト・オン出来る素晴らしいMIDIエンジンが実装されています。

また現在多くのオーディオアプリがDSPを採用しています。これによって様々な効果やシンセサイザをプラグインとして取り込むことが出来ます。今回AudioUnitsというDSPプラグインの標準規格を作りました。AudioUnitsの規格に従ったDSPプラグインであればどのような音楽アプリへも簡単に搭載できます。これはMacだけで実現されている機能です。

アビー:じゃ今から僕がやるデモを手伝ってくれるダグ・ワイアット(画面に彼の名前とCore MIDI Engineerという肩書きが表示される)に来てもらいましょう。(ダグ・ワイアット氏壇上に登場、キーボードの前に座る。)やあ元気?

ダグ:調子いいですよ。そちらは?

アビー:こっちもいいよ。じゃ、早速はじめましょうか。今からダグと私はMacOSXの特にMIDIに関係する部分の特長をお見せしたいと思います。これからいくつかのアプリを使ってそれらの点を「通し」て説明します。まずMacOSXは“Out of the Box”であるところのMIDIを再生することができます。まずここにMIDIファイルがあるので再生してみましょう。(軽快な音楽が流れ出す。)非常にざっくりと説明すればMIDIデータというのは曲の譜面です。今流れている音楽はそのデータを元にコンピュータが「オン・ザ・フライ」で合成しているものです。繰り返しになりますが、これはMIDIファイルであってサウンド・ファイルでは有りません。じゃちょっと曲を止めて。(MIDI楽曲止まる。)

今度はコンピュータがデータを取り出して演奏する代わりにダグ、君がデータを打ち込んでみて、キーボードで演奏してみてよ。(ダグ、キーボードをつま弾き始める。)今何が行われているかを説明するとダグがキーボードで演奏をしています。ダグ直接説明してみてくれる?

ダグ:ええ、私はキーボードを引くことでMIDI eventを発生させ、それはキーボードからUSBケーブルを伝ってMacintoshへ届きます。MIDI eventは私たちの開発したMIDIアーキテクチャに基づくドライバとアプリケーション・インターフェースを経由してアプリケーションに伝わり、アプリケーションはMIDI eventを受け取ると同時にソフトウェア・シンセサイザに対して音符に合わせた音の合成を開始するように指示します。

アビー:ここで重要なことは、こうして仕組み自体がクールなんだけれども、(ダグ:そうですね。とあいづち)レイテンシがとにかく低くてキーボードを叩くのと殆ど同時に音が出ているように感じられる位なんだよね。

ダグ:その通り。反応がものすごく速いんです。

アビー:その高速反応がなきゃちゃんと演奏できない訳だよね?

ダグ:そう、それがないとちゃんとうまく演奏は出来ません。

アビー:じゃあそれを実際にお見せすると同時に少し違うこともデモしてもらうことにしましょう。具体的にはさっきのMIDIファイルを演奏しながら、同時にダグにも伴奏してもらいます。ということはコンピュータは音の合成をしながら、同時に外部から別の入力を受け付けることになる訳ですが、ここでそれだけではなくてその2つの演奏を合体させてそれをさらにシンセサイザにかけるということをやってみます。そこでやはりレイテンシが非常に低くいことがお分かり頂けると思いますし、きれいに聞こえると思います。(ダグに向かって)うまく演奏できるよね?

ダグ:(ちょっとあせりながら)がんばります。(場内笑)

アビー:でもきれいな合奏というのはレイテンシが低い時にだけ実現するんです。もしそれが駄目な時には彼の演奏する音が遅れて大変なことになってしまいますし、あるいは彼が聞くタイミングが狂ってしまってもだめですしね。

じゃあ早速MIDIの再生を始めてみましょう。ダグ、伴奏を始めてくれる?(MIDIの再生に合わせてダグの演奏が聞こえる。)

アビー:で、ここでクールなのは演奏の最中にもコンピュータを他のことに使えるってことです。今コンピュータはシンセサイザでの演奏や低いレイテンシの確保で負荷がかかっているはずですが、ここでインターネット・エクスプローラを立ち上げてみましょう。立ち上がりました。ここで負荷を上げる為に最大画面にしてみます。(ダグに)レイテンシはどう?

ダグ:大丈夫です。

アビー:ちょっといたずらをしてみましょう。(ダイアログボックスを開いたり、メニューバーをプルダウンしてみたりする。)大丈夫ですね。そして今度は映画の予告編を見てみましょう。コンピュータ内部はネットワークへのアクセスやサウンド再生の増加でさらに負荷がかかります。(インターネット・エクスプローラ内で「指輪物語」のムービー・トレイルが始まる。)でもコンピュータは相変わらず全ての作業を「オン・ザ・フライ」で続けています。音もゆっくりになったり止まったりしていません。全ての動作が継続していますが(ダグに)演奏の方は大丈夫?

ダグ:大丈夫です。演奏以外のいろいろな音が聞こえてくるんで、何をやってるのかわからなくなっちゃいましたけど。(場内笑)

アビー:大丈夫だったよ。どうも有り難う。

ダグ:どうも(と言いつつ退場。場内拍手)

フィル:かっこいいね。今度は僕も絶対誰か楽器のできるエンジニアに一緒に出てもらうことにするよ。(場内爆笑)

ここで私はメディアレイヤーへの対応やその他みなさんがやりたいと思っていることを実現するためには多様なデバイスのサポートも非常に重要であると申し上げておきたいと思います。MacOSXは他のどんなOSよりもモジュラー化されており、そうしたデバイスのサポートへの適応力を備えていおり、それはいまだかつてなかったレベルにまで進んでいます。

この一覧表に有りますように、(画面にDevice Supportの一覧が表示される)私たちは主要なUSBプリンターのビルトインサポートを実現しています。これらのプリンタは(PCに)つなげば動きます。レーザープリンターはそれをネットワークにつなげば動きます。これらのデジタルカメラもつなげば動きます。これらデジタルビデオカメラはiMovieといったアプリと組み合わせて使うことができます。

ストレージ・デバイスについても昔懐かしいフロッピードライブから最新のメモリスティック、スマートメディアに至るまでMac OS Xでは使用可能です。またキーボード、マウス、ジョイスティックといったインプットデバイス、さらにはオーディオスピーカーやマイクもOSにビルトインされたデバイスサポート機能とMacOSXのモダンなデバイス・マネージメント・アーキテクチャによってちゃんと動作します。

ここでまた(OSの)違う階層の話になりますがセキュリティーについてもお話したいと思います。PCを使用する人々の間で「コンピュータプラットフォームにおいて十分なセキュリティーを確保したい」という要求は日増しに高まっています。

(画面に「Security」の表示。)私達はMacOSの開発をすすめるにあたって、OSのあらゆるレベルでのセキュリティーを強化することに注力しました。

アビー:私たちはセキュリティについて真剣に考慮しました。そして私たちは納得のいくまで検証を行い、その結果MacOSXの為に非常に多くのセキュリティに関するテクノロジーを開発しました。そのことによって私たちはシステム全体のセキュリティのレベルを高めることができたと考えています。ではその内のいくつかについてご説明しましょう。

まずシステムにビルトインされたAuthentication機能ですが、ユーザーの操作がシステムに影響を与える可能性がある時、まずユーザーにそうした操作を行う権限があるか判定をした上でシステムへのアクセスを許すようになっています。

同様にシステムの外の(「Out of the Box」)の話ですが、コンピュータの出荷時の設定は非常に保守的になっています。これによってネットワークプロトコルを使ってユーザーが接続を行う時に不測の操作を行った結果、設定が変えられ、セキュリティが弱められるような事態を防いでいる訳です。

次に様々なテクノロジーを安全な形で実装するようにしています。例えばリモートターミナルへの接続を行う為のSSHが搭載されていますが、これを使いたくないという方向けにSSLやKerberosも同梱しています。

またほとんどの方は気付くこともないと思いますがMac OS XにはIP Firewallがビルトインされています。サードパーティのソフトウェアをユーザインターフェースとして利用することでセキュリティの土台としてシステムにビルトインされたファイア・ウォールの設定を行うことが出来ます。

また「Keychain」というパスワードを管理するテクノロジーもあります。複数のサーバを管理したら複数の認証を受けたりする必要がある時にはとても便利です。

そして究極のデータ保全手段として「Encrypted disk images」があります。この技術を使えばハードドライブ上に完全に暗号化された仮想ディスクを作ることができます。たとえ誰かがあなたのシステムに干渉することが出来たとしてもデータにアクセスすることは出来ません。なぜならデータは暗号化されているからです。暗号化されたディスクを手に入れてもどうすることも出来ないってわけです。

そしてもっと徹底したセキュリティを望まれる場合にはシステムの最下層まで降りて行ってOpenfirmware にパスワードをかけることも出来ます。これによって例えばCDからのブートといったシステムに害を与える可能性のある操作が行われることを防ぐことが出来ます。そうした動作を完全に規制し、パスワードをかけることが出来ます。

そして最後にこうしたセキュリティの根幹をなす「Multi User」のコンセプトはシステムにビルトインされており、システムの最下層部分からすでにサポートされています。ですからシステムは常にシステム自身に対して「どの」ユーザーが「どんな」操作をしており、どのような操作を行う「権限」が与えられているかを把握しており、ファイルに対するアクセスの許可等を通じて不測の事態が起きることを防いでいるのです。

じゃあ今度は階層の一番上に存在していて皆さんがMac OS Xを使う時に向き合ういわばシステムの「顔」である「Aqua」について話しましょう。(画面には「Aqua」と書かれたAquaライクなアイコンが映る。そしてMac OS Xのデスクトップに切り替わる。)

フィル:ここにおられる皆さんの中にもすでにMac OS Xを使っている方がきっとたくさんおられるはずです。この画面に馴染みのある方もいらっしゃることと思います。なにせMac OSプラットフォームに導入したこの素晴らしいインターフェースには先ほどご紹介した「Quartz」や「オンザフライ」のアンチエイリアス機能、ドロップシャドウ、QuartzのCompositing Engineといった数々のアドバンテージが備わっていますから。

ですから例えばここで私がQuickTime画像の上にメニューを重ねたとします。するとその部分は半透明になり、それらはユーザーの意図する通りにインタラクティブにシームレスに動作します。

Mac OS XのAquaインターフェースをデザインする上で私たちが重要視したのは取っ付き易さももちろんそうですが、何よりも「初めてシステムを使用する人にとっての操作の簡単さでした。」その結果、これまでのMac OSのデザインの中でももっとも容易に使用出来るように工夫されています。それだけではなくプロフェッショナルの人々にとってもそれを使い込んで行くほどにそれが従来のMac OSよりもはるかに強力なツールであることが実感できるものになっています。

このようにビギナーからプロフェッショナルまで全ての層のカスタマーが使用することを前提として開発を行うことは大変な挑戦でしたが、私たちは大きな成果を上げることができました。こうした試みは未だ他では成し遂げられてはいないものです。

私たちがカスタマーの皆さんについて知っている事実に、Macのカスタマーの皆さんは例外なく自分のシステムをカスタマイズし、好みの設定にすることが大好きだということがあります。MacOS9までのシステムではいろいろなものをシステムの外から集めてきてシステムの上にのせることでそれは実現されていました。Mac OS Xでは私たちはそうしたカスタマイズを後付けによって行うのではなく、システムの内部に搭載することに腐心しました。

アビー:その通りです。(画面にはカスタマイズ機能の一覧が表示される。)実際Mac OS Xはそのかなりの部分がユーザーによってカスタマイズ可能です。ざっと見て行きましょうか。まずツールバーですが、御覧のようにありとあらゆる処にツールバーはあります。Finderはもちろんのこと、E-mailアプリなんかにもありますね。これらのツールバーは全てカスタマイズ可能です。好きなものをそこに放り込むことができますし、なんとなれば隠すことも可能です。

次にドックです。ここもカスタマイズのしがいがある場所です。みなさんはここにファイルやドキュメントを置くことができますし、設定をカスタマイズすることでメニューを使うこともできます。そしてここからファイルシステムに入っていくことも出来るんです。あとでちょっとそのあたりのデモをお見せしたいと思います。

で、その次がシステムステータスメニューです。これはメニューバーの上にポップアップメニューとして様々な種類のシステムのステータスを表示するものですが、どこで表示されるか、またどのような内容を表示するかについてはユーザーがカスタマイズすることが可能です。

グラファイトアピアランスというのはAquaインターフェースの摘要の具体的な一例で、画面に色を付けないように指定されたシチュエーションにおいてそこを無色ではなくグラファイトアピアランスと呼ばれる色合いとシンプルなチェックボックスで元の色から置き換える機能です。

私がもっとも有用だと思っていて、ほとんどの人がその存在に気が付いていない機能の一つがアプリケーションとドキュメントの「Binding」(紐付け)機能です。ドキュメントの一つ一つについてどのアプリで開くのかをシステムに対して指定することが出来る機能です。

同様に最近私達がMac OS Xに付加した機能の一つにフルキーボードアクセスがあります。これは皆さんから要望が強かった機能で、マウスを使うことなくMacintoshのユーザインタフェースをナビゲートすることを可能にするものです。

最後に強力な多言語環境のサポートによって皆さんの思うままに言語環境のカスタマイズができること。同様に日付や数字の書式も自由にカスタマイズ可能であることを申し上げておきたいと思います。

じゃ実際のところを少し見てみましょう。今からMac OS Xのカスタマイズをどうやってやるかをざっとお見せします。全部じゃありませんけどね。

まずファインダーを開いてツールバーを見てみることにしましょう。(デスクトップにウィンドウが展開される。)そしてカスタマイズしてみることにしましょう。まずツールバーの設定方法をお見せします。(メニューバーを操作する。)「ツールバーのカスタマイズ」を選んでやればこのように実に多様なファインダーに対応した操作パレットの一覧にアクセスすることが出来ます。(ウィンドウ内にパレットの一覧が表示される。)この一覧の中からアイコンを選んでやることで簡単にカスタマイズすることが出来、元に戻すことも簡単にできます。ためしにこれを外してみましょう。(ツールバーから操作のアイコンを外してみせる。)こうやって望み通りのツールバーを作ることができるのです。

実はこうした所定のビルトインされたやり方だけではなく、例えばフォルダをツールバーにドラッグして置いておくことも可能です。(実際にフォルダをツールバーにドラッグする。)さてここで私はファイルシステムの中のあるものを探しており、それはプロジェクトにおいてしばしば使われるものなのですぐにアクセス出来るようにしたいとします。そんな時も(それが今のフォルダの中にあるものだとすれば)ただクリックするだけです。「バン!」ほらこの通りです。(フォルダの中身がウィンドウ上に展開されて目当てのドキュメントが表示される。)シングルクリックするだけです。

さらにそのフォルダの中にドキュメントを移動させたい時もツールバーのフォルダのアイコンの上に移動させたいファイルをドラッグしてドロップするだけでよく、ドキュメントのコピーを移動先フォルダのパネルのところまでその都度持っていく必要もありません。非常に簡単です。

また「ツールバーなんていらない。Mac OS 9のファインダーの様に各々のウィンドウが自身のサイズや位置を記憶するような仕様で使いたい。」と思ったとします。そんな場合も簡単です。ここにある魔法のボタンを押してそれからツールバーを非表示にすれば、基本的にMac OS 9のファインダーと同様の使用感になります。

例えば何かをダブルクリックをしてみると(フォルダをクリックするとフォルダの内容が別のウィンドウとして展開されてゆく。)このように新しいファイルが開きます。またフォルダを別の位置に移動させてから閉じてまた開いてみると御覧の様に以前の場所を記憶しています。Mac OS 9と全く同じ仕様です。

続いてまた面白いことを一つ。私が「面白い」という時にはいい場合と悪い場合の両方があるんですが、ここでは面白い方法でファイルシステムをナビゲートするやり方を紹介しましょう。ドライブのアイコンをドックの中に入れれば、ドックにフォルダを入れた場合と同様にそれをクリックしてドックメニューを使って(ドック内のドライブアイコンをクリックするとドライブ内のフォルダ名一覧がドックメニューの中に表示される。)ドライブの中の全てをナビゲートすることが可能です。みてて下さい、ほらこんな風に。(ドックの中のドライブのアイコンの上にドックメニューが入れ子状にどんどん開いて行く。)

続いてフルキーボードアクセスです。(両手を上げながら)マウスは使ってませんよ。魔法のボタンでフルキーボードアクセスをオンにします。アイコンのハイライトが変わっていきます。矢印キーを使うことでドック内のアイコン間を移動できるようになったことがお分かり頂けると思います。上向き矢印キーを使ってこのようにドックメニューを使うことも出来ます。従来マウスで行ってきた作業を同様にキーボードだけでも実行できることがお分かり頂けると思います。

また別のコマンドキーを叩くことでメニュー部分においても同様にキーボードだけでナビゲーションが出来ます。このように矢印キーを使ってメニュー間をナビゲートすることも可能です。

もう一つ非常に便利な機能が、どのアプリケーションでどのファイルを開くかを指定出来る機能です。例えばこのフォルダの中にいくつかのPDFファイルがあります。説明しました様にPDFはOSにビルトインされており、デフォルトではPDFファイルを見るときには「プレビュー」アプリが起動しデータをレンダリングして表示します。しかし何らかの理由で「プレビュー」以外のアプリでこのファイルを開きたいとします。

そんなときにはドキュメントのインフォパネルを開いて「このアプリケーションで開く」の項目でこのドキュメントを開くのに使用するアプリケーションを確認します。そうするとシステムがPDFファイルを開けると認識しているアプリの一覧が表示されます。ここをクリックして「Acrobat」を選択してみます。ここではシステム全体レベルでPDFを開くデフォルトアプリを変更することも出来ますが、今はやらないでおきましょう。ここではこのドキュメントだけ使用するアプリを「Acrobat」に変更しました。同じことを他の種類のドキュメントやアプリケーションに対して行うことも可能です。

フィル:ただ今のデモで披露された機能は御覧の通り非常に強力なものです。もう一度確認しておきたいのですが、以前はどのアプリがドキュメントを開くのかという事を変更する時にはResEdit等のツールを使ってクリエータを変更する必要が有りました。

今回からはその設定をインフォパネルで行えます。しかもドキュメントごとに設定することも出来るし、システム全体レベルで設定することも出来るようになりました。また変更に応じてドキュメントのアイコンも変更されるので変更したことを忘れてしまうことも有りません。非常に強力な機能だと思います。でも残念なことにこの機能は今の処、ごく一部のユーザの間でしか知られていないんですよね。

フィル:次はちょっと視点を変えてアプリケーションのこと、それから何通りかあるんですが、Mac OS X上でのアプリケーションの作り方についてお話しましょう。そしてそこで開発されたこれまでにない機能を備えたすごいソフトウェアの数々をご紹介したいと思います。

御存じの通り、Mac OS Xには非常に多くのデベロッパーにメリットもたらすAPIが用意されています。そしてそれらを使って開発された多くのアプリケーションが姿を現し始めています。こうしたアプリの殆どはCarbonを使って開発されています。Carbonは非常に優れたMac OS Xネイティブアプリケーションの開発手段です。Microsoft社やAdobe社、その他多くのデベロッパーがCarbonによるソフトウェア開発を行っています。(そして画面に「Cocoa」の文字とProjectBuilderのアイコンが表示される。)ですが、今日はMac OS Xにモダンで新しいもうひとつの開発環境を提供する非常にパワフルなツールであるCocoaについてお話したいと思います。(場内で誰か一人だけが大拍手)どうも有り難う。(場内笑)

アビー:Cocoaっていうのは本当にすごいんですよ。じゃあ続いてCocoaのベースになっている一連のテクノロジーについてお話してみたいと思います。(画面にCocoaの特長一覧が表示される。)

まず皆さんに分かって頂きたいのはCocoaはObject Oriented テクノロジーとDynamic Runtime AppKit Classesを下敷きにしているということです。これはどういうことかと言うと、特に今日ここにお集りの皆さんに関係する点から申し上げれば、「デベロッパーがソフトウェアの開発作業を非常に迅速に実施できるようにする仕組みが用意されている」ということです。

それを実現するための基盤はObject Oriented とDynamic Runtimeなんですが、実際には「アプリケーション開発に必要な作業の大部分が既に私たちApple社によって完了している」ということがより重要な意味を持っています。それら(の作業の結果)は「Foundation」クラスとして実装されており、基盤階層のクラスとしてはメモリの管理やUnicodeの処理、タスクの実行といった操作を助けるものが、またより表層のレベルでは、例えばさっき言った様なユーザーインターフェース構築用のAppKitが用意されていて、「メニュー」や「ウィンドウ」を作る時にも、それらはObject Orientedな形で用意されており、「自動的に作られる」のでコードを書く必要がないんです。デベロッパーの皆さんはこのことによって大きなアドバンテージを得ることが出来るでしょう。

そしてこうした「Foundation」レベルの(クラスを先に用意しておくという)作業はMac OS Xの非常に広範囲を網羅する形で行われています。Cocoaはそれらをサポートしていますので、みなさんはいきなりこうしたものを無料で手に入れることができます。まずAquaの機能を完全に使うことが出来ます。またAppleScriptへの完全なアクセスも実現されていますので、作成されたアプリはScript対応になります。またそのアプリはそのベースとしてQuartzによる描画機能を有し、その機能に完全にアクセス出来るようになります。またUnicodeを処理する能力も備わり、そしてそのアプリ上で入出力されるデータは全てXMLベースになります!

私たちはこのDeveloper Toolの素晴らしい可能性を踏まえて、これを同じく素晴らしいインタフェース開発環境であるVisual Editorとセットにして全てのMac OS Xソフトウェアのコピーに添付することにしました。(場内大拍手)

フィル:では次に、今多くの人々にダウンロードされ、喝采を浴びているCocoaアプリケーションを一つの例としてご紹介しましょう。偉大なソフトウェア開発者であるKarelia Software社のDan Wood氏を紹介しましょう。ここではDanがCocoaを使ってやってみせてくれたすごいことについてご本人に語ってもらいましょう。じゃあお願いします。(拍手、画面に紹介文が映る)

ダン:どうもダン・ウッドです。今日は私が新しく開発した「Watson」というソフトについて紹介したいと思います。(場内拍手。)

今では私たちにとってウェブというものは大変馴染み深いものになっています。いろんなウェブサイトを訪れ、自分で立ち上げ、あるいはSherlockを使って検索をしたりします。でもその時にアクセスする対象というのはコンテンツだけでなく、いろんな(サービスを提供する)アプリだったりするのですが、それらには往々にして「Mac的」な使用感が欠けているんですよね。いちいちページごとに検索して行かなくてはならなかったりしますし。

Watsonというのは言ってみれば「ウェブ上で提供されるサービスのコレクション」なんです。(画面上のアプリを指差しながら)なのでこのようにウィンドウの上部にそうしたサービスのアイコンが並んでます。これを私たちはデスクトップウェブアプリケーションと呼んでまして、ブラウザ経由でそうしたサービスを使うのではなくて、Aquaの使用感を持ったアプリ自身がそうしたサービスを機能として持っているんです。だからMac OS Xのユーザインタフェースとそうしたサービスを組み合わせて使うことが出来る訳です。そうすることでそうしたサービスを非常に簡単に素早く使うことが出来るので、皆さんもきっと毎日使いたくなること請け合いです。

実は今日バージョン1.1がリリースされまして新しくテレビ欄検索と宅急便のトラッキング機能が追加されました。じゃデモを始めましょう。まず宅急便検索ですが、複数の宅配業者のトラッキングサービスに対応してまして、現在配達中の小包の状況を調べることができます。例えばこの通り、私が昨日注文したエレンファーガス社から新しく出たCocoaの本、これかなりいい本なんですが、これがつい数時間前にシステムに登録されて我が家に向けて配達中だという状況を刻一刻知ることが出来ます。もうひとつこのようにUPSのサービスにエアウェイビルのナンバーを打ち込んでやるとUPS社のデータベースにアクセスできるので国の反対側から配達されてくるiMacの配達状況がこの通り分かると言う訳です。

ムービース・ツールも紹介しましょう。ここではすでにサンフランシスコ市内の郵便番号検索を設定してあるんです。私は実はVanness通りにあるAMC1000劇場がすごく気に入ってまして、それはデジタルプロジェクター上映館だからなのですが、ちょっと見てみましょう。ほら劇場の情報と上映作品、多分「Monster 」だと思うんですが、の上映時間が出てきましたね。次の回は一時20分からだということはこの講演会が終わった後急げば間に合うって事ですね。(場内笑)このように映画の情報が分かるって言うのもいいんですが、何と言っても一番いいのはプレビューが見られることです。(アプリケーションのドロワーが開いてQuickTimeでプレビューが表示される。場内歓声と大拍手)すごいでしょ。ここをクリックしてブラウザを立ち上げればチケットも買えます。じゃ映画はここまでにして次にいってみましょう。

イメージツールも紹介しましょう。これはSherlockでは探すことが出来ないものを検索することが出来ます。試しにフィル・シラーを探してみましょう。(「やめてくれー。」とフィルの声、場内笑、ウィンドウ内に活躍するフィル・シラー氏の写真の数々が表示されていく。)さあフィルの写真がいっぱい出てきました。このようにダイナミックに自動的にソートもされていきます。その中で僕が気に入ったのはこの下の方に「偉大な兄弟」と名前がつけられたこの写真なんですが、(写真にはフィル・シラーともう一人でかいオジサンが映っている。場内笑)これをこの様にプレビューを使って表示したり、保存したりすることもできます。

僕のデモは以上ですが、Watsonについては現在でもいくつかのツールの追加の準備を進めています。みんなから誉めてもらえて本当にうれしいんですが、ちょっとこれもなかなか素晴らしい舞台裏の話もさせて下さい。WatosnはCocoaで書かれたMac OS X完全対応アプリです。私はMacのプログラマーとしてはオールドタイマーで、まだスクリーンが白黒のころからは仕事をしてます。Cocoaは最近使い始めたんですが、使ってみて少なくとも断言できるのはCocoaを使うと開発のスピードが上がるって言うことです。本当に使い易かったです。

皆さんにお見せしたツールの機能というのは大体20,000行位のコードから出来てます。プログラミングは去年の6月から、プログラミング要員一名からなるチームを投入して行いました、その一名っていうのは僕のことなんですけど(笑)

アビーやフィルからも説明がありましたが、Cocoaはツールバーや表、ムービーツールやXMLやプラグインを用意してくれているので僕はその関係のコードを書く作業にエネルギーを使わずにWatsonのWatsonらしい部分を作り込むのに集中できました。さらにいうならCocoaはアプリを簡単に作れるというだけでなく、予算面、時間面の制約をクリアさせてくれると言う意味においても重要でWatsonはCocoaなしには生まれなかったでしょう。

WatsonはAppleやVersiontrackerのサイトで紹介されています。是非一度御覧になって下さい。(場内大拍手)

アビー:ダン、どうも有り難う。

フィル:Mac OS Xで出来るすごいことと言うことで、今までCarbon、そして新しいCocoaについてご紹介してきました。次にJavaやUNIXでの開発についても見て行きたいと思います。もしかすると皆さんの中には一部の人たちがそうした環境で開発をやっているという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。UNIXへの対応は世界中で数億人はいるであろうそうしたUNIXプログラマー達にMacへの道を開くためのものなのです。その目的のために私たちは素晴らしいUNIXベースのオペレーティングシステムやJAVAベースの開発ツールを用意したのです。

アビー:じゃ早速システムの「UNIXな部分」について話しましょう。いつも思うんですが、「Macには詳しくない、けれどもUNIXについては非常に詳しい」人と話すのは非常に面白いですよ。なぜかって言うと大体において彼等はMac OS XがUNIXを下敷きにしていることを知っていて、OS Xがどの程度、どのような形でUNIX系の技術をサポートしているかに常に興味を持って聞いてくるからです。

仮に皆さんたちにもそうした人たちとじっくり話す機会があるとしたら、こういう風に説明できると思って下さい。「UNIXでサポートされているものは全て何らかの形でMac OS Xでもサポートされている」とね。そしてまず最下層に位置するMach BSDのことを話すことになるでしょう。そこでは通常のAPIがサポートされていてPOSIXにも対応しているのでOSの「UNIXな部分」をUNIXプログラマー達に触らせることができること、業界標準であるTCP/IPスタックスも備わっていることなんかをアピールするといいわけです。そうすると次に出てくる話題というのは「Standard System Librariesはこれこの通り、ネットワーク関係のDaemonについてはこうなってます。BSDで使われるコマンドのサポートはこう、さらにはAwk, grep, vi, emacs, perl, gcc , sshはどうだ。」とか言った話が延々続いて行く訳です。

ちなみに今僕が言ったことを「理解出来たよ。」っていう方はどのくらいいらっしゃいます?手を上げて。(結構な人数が手を上げたらしい。)あ、そうですか。こりゃすごい。ま、何れにせよそうしたものは全部システムに入ってます。もちろんサービスの中には実装されていないものもありますが、そうしたものについてもネットから無料で手に入るソースコードをダウンロードしてコンパイルすれば使える訳です。だから何れにしても回答はこうです。「もちろん、他のUNIXと一緒だよ。」です。

フィル:ではMacの世界にやってきたUNIX開発者が成し遂げた素晴らしい仕事の一例を見て頂きましょう。有名なところではMayaがUNIXからMac OS Xに移植されています。ですが今日お見せするデモは殆ど初お目見えの新しいすごいもので、ビジュアル的にもかなり見ごたえがあるものです。それではTweak FilmsのChris Horvathさんにそのデモをやってもらいましょう。クリス、じゃあ宜しくお願いします。

クリス:こんにちは。今日はお時間を頂いて、「映画で使われるビジュアルエフェクトをMac OS X上で動くツールを使って作るにはどうするか」ということをお話したいと思います。最近の映画では殆どの場合、特殊効果が使われています。映画で使われている特殊効果ってのは本当にすごいですよね。例えば恐竜なんていうののがその典型です。そういう「いかにも」なビジュアルエフェクトとは別に、現実世界にあるものをそっくりまねして作る、たとえば映画「パーフェクト・ストーム」で僕がやったような海面の波を作る作業なんていうものもある訳です。自然現象には他にも煙とか火、特に難しい水の振る舞い等がありますが、これらをビジュアルエフェクトとして再現するには、物理特性とか数学的計算とかを組み合わせることになるので、ものすごく重たい処理をやらなくちゃなりません。

伝統的にこうした処理はUNIXのマルチCPU搭載機を使って行われてきました。だから僕は主に水などの自然現象の物理的シミュレーションを担当するビジュアルエフェクトデザイナーであると同時にUNIXプログラマーでもある訳で、この8年間「ディープ・インパクト」や「パーフェクト・ストーム」に関わりながらそうした形で仕事をしてきました。ところがこの3か月間というもの、僕はずっと奇妙な気分にとらわれたままです。というのもその間、僕は驚くべきことにMacのプログラマーとしても仕事をしてまして、その原因がOS Xだったんです。

今日僕たちが持ってきたのは僕の所属するTweak Filmが製作したアプリで、海面や水面の波をシミュレートするもので、元々はUNIXアプリとして作られたものです。実は一週間ほど前にAppleさんから連絡を頂きまして、このアプリをMac OS X用にしてみませんかと言われたんです。正直その時はみんなで顔を見合わせて笑いましたよ。(場内笑)

ところがです。僕たちは取り敢えず笑ったことを忘れてMac OS X上での移植作業を始めました。そしたらこれが驚いたことにほんとに短時間で出来てしまったんです!しかもそれだけじゃなくていろいろな機能を追加することも出来ました。こんなことは他のOSでは出来ないし、もちろんUNIX上でも実現できなかったことです。じゃあ早速その成果をお見せしましょう。(画面には外海の荒波のシミュレーション画像が表示される。波がリアルタイムで大きくうねっている。)

このすごいシミュレーション画像は外海の荒波の物理的特性をここにあるコンピュータにリアルタイムで処理させることで描画しています。具体的にはOpenGL三次元画像として作成したものをムービーとして表示しています。3Dデータなのでいろんなことができます。例えば視点の変化も容易です。アングルを変えたり、回転やズームインアウトも可能です。これはQuickTime画像の前後再生とかアニメーションを録画したものじゃありません。あくまで物理的特性のシミュレーションなんです。

だから波の物理的特性のパラメーターをいじってやることで水の動きを変えることも出来ます。ビジュアルエフェクトデザイナーとしてはこの機能を使って、映画のシーンに応じて、いってみれば「波を彫刻」してやることができます。このあたりのコントロールを変えてやると(画面右上のスライドボタンを動かしてみる。)風向きをかえたり、波を恐ろしげな大波やリアルな三角波にしてみたり、波の間隔を小刻みなプールの波やゆっくりとした外洋の波に変えたりもできます。またこのように解像度をリアルタイムでシミュレーションしながら非常にスムーズな調子から物凄くディティールを書き込んだレベルにまで引き上げたりすることも出来るんです。

で、実はこうした作業の部分というのがUNIXマシンが一番もたついてしまう処なんです。同じことをやろうと思っても元のUNIXのシステムではこんなに素早くは出来ません。このあたりは移植の際にAltivec、つまりG4のVelocityengineへの最適化を行ったことが効いているんですが、その成果はまさにすさまじいの一言です。それにMac、特にこのマシンが積んでいるnVIDIA GeForce 3Dカードのグラフィック性能もそりゃすごいもんです。普通こうして作ったデータというのはMaya等のツールを使って最終的な絵としての仕上げをするんですが、このマシンのグラフィック機能ならこのアプリの上でもそうした作業が出来ます。例えば波をリアルにする為の作業ですが、波には照り返しがつきものですので、まずそれを付け加えてやります。そのままですと御覧のようにミルクの表面のようでリアルではないんです。で、QuickTimeVRのファイルを使ってこのように3Dの照り返しを付け加えます。ほらもっと本物の波らしくなったでしょ。(画面上のシミュレーション画像がすっと見事な「波」の画像になる。)このレベルの作業をこのようにインタラクティブに実行できるのは僕にとっても初めての経験です。(場内大拍手。)

さらに波頭の照り返しをもっと強く、下の方の照り返しは弱くしてみましょう。(波のリアル感さらに増す。)

こういうことが出来ちゃうと僕は思う訳です。「俺は波を統べる海の王だ〜!」(クリスのワルノリ?が始まる。場内爆笑。)で、さらに自分の世界へ入っていった僕は思う訳です。もうこうなると完全に気分は「タイタンの戦い」の中に出てくる小パンテオンにおわして海を統べるポセイドンな訳で、きっと彼は波を自在に起こす大理石のボウルを持ってるに違いないとか思います。で、Mayaを起動して周りにボウルを作ってみたりします。(画面にあらわれる大理石のお椀!中では波が渦巻いている。場内喝采。)で、バックにはオリンポスの風景とかをつけちゃったりして。わしは海の王じゃぁ〜。(と言いつつコントローラーをぐりぐりするクリス。場内やや苦笑)

ざっとこんなところです。このソフトにはもう少し機能を追加して、少し遊んでみたり、ファイルをセーブしたり、レンダリングが出来る様にしました。この講演が終わり次第うちのサイト(tweakfilms.com)から無料でダウンロードできるようになりますので是非使ってみて下さい。じゃあどうも有り難うございました。(大喝采と拍手。)

フィル:クリス、どうも有り難う。本当に素晴らしかったです。彼からもコメントがありましたが、一週間で移植作業が済んだというのは本当にすごいことだと思います。

(やや先を急ぎつつ)で、次はJavaです。UNIXであることもそうですが、Mac OS XにはメジャーなOSの中で唯一標準でJava2をビルトインした形でサポートしているという特長があります。ちなみにSunMicrosystemではJava2をJDKv1.3と呼んでいます。どうしてそんな名前にしたのかは私もよく知りませんけど。(場内笑)何れにせよMac OS Xには現時点でもっとも新しいJavaを実装し、もっとも速いバーチャルマシンであるHotSpotVMをSunから導入し、Java2D、Printing、Drag & Dropの実装そしてSwing Toolsを使ったUIの構築が出来る様にし、そして特筆すべきことしてMac OS X上でJavaアプリがAqua UIを使えるようにしました。これによってUNIXやWindows上で動作するクロスプラットフォーム型のJavaアプリをMac OS X上でも使用できるだけでなく、より優れたAquaのユーザインターフェース経由で使用することができます。またJava以外の技術との連係についてのアドバンテージということで言えばQuickTimeが挙げられるでしょう。Appleがこれまでに無かった強力なメディアレイヤーを用意したことによって、Java上でQuickTimeコンテンツを扱うことが出来るようになったのです。またJavaアプリを動作させられる業界標準の強力なクライアントサーバーアプリが必要ならWebObjects 5があります。以上がMac OS Xでの強力なJavaサポートの全容です。

アビー:まだ終わりじゃ無いですよ。これまでにJava、Unix、Cocoa、そしてCarbonのことをお話しして、そこにある無限の資産のことを申し上げました。最後にAppleにとって非常に戦略的な存在であり、OSの基部に近いところに存在しているのであらゆるアプリケーションがその恩恵を受けることが出来るAppleScriptについてご紹介したいと思います。Mac OS XにおいてAppleScriptは非常によくOS本体に統合され、また非常な進化を遂げましたのでここにご披露したいと思います。

フィル:皆さんも御存じの通り、たくさんのプロフェッショナルユーザーがAppleScriptで作ったスクリプトを用いてMac OSのFinder上でのタスクの自動化や複数のアプリにまたがるワークフローのコントロールに活用しています。そうした方達にとって最大の関心事はMac OS XにおいてAppleScriptのそうした機能はどうなるのかといったことだったかと思います。Mac OS XにおけるAppleScriptはそうしたこれまで通りの機能を継承すると同時に、それらをはるかに超えてこれまでは夢として片付けられていた機能を備えました。そして私どもは昨年の12月に全く新しい新製品モAppleScript Studioモを発表致しました。新しいApple Scriiptの最大の特長はAppleScriptを使ってCocoaで行うのと全く同様にプロフェッショナルで高品質なアプリケーションの開発が行えることです。

使用するツールはCocoaと同様です。プロフェッショナルな開発環境であるモProject BuilderモやリッチなAquaインターフェースをアプリケーション上につくり出すモInterface Builderモが利用できるのです。つまりCocoaやAquaによって実現されるグラフィックの描画機能、Quartzによる画面制御、豊富なテキスト上の表現力といった特長は全てAppleScriptにビルトインされており、アプリにそれらのリッチな機能を持たせることが出来るのです。またAppleScriptはインターネットサービスとのデータの受け渡しにも対応しております。皆さんがWatsonのデモで御覧になったように、全ての出力データはXMLとして出力されるので、(開発された)アプリは最新のインターネットサービスともデータのやり取りをすることが出来るのです。

ではここで当社のAppleScript Product ManagerのSal Soghoianに壇上にあがってもらい、その辺りのデモをしてもらいましょう。やあサル!(場内大歓声)

サル:フィル、アビーどうもありがとう。みなさん楽しい午後のひとときにようこそ。AppleScriptは10年にわたってApple社が提供してきた自動化の為のテクノロジーであり、ユーザーの皆さんにMacintosh上での作業の生産性をより高く簡単にするものです。そして喜ばしいニュースとしてAppleScriptは何倍にも何倍にも改善されました。今日はそうした方向性の一環としてAppleScriptにおけるScriptingの書き方の実際をお見せしたいと思います。(画面を見せながら、)1992年以来、AppleScriptではここに立ち上げたとてもシンプルなScriptEditorを使っており、ごらんのように、そこには何のボタンの類いもなく、変更を加えられることもありませんでしたし、また特段のインターフェースも備えていませんでした。1992年以来皆さんはこれを使ってスクリプトを書き、同じアプリ上でそのスクリプトを走らせてきた訳で、これが唯一手に入る環境だった訳です。

MacOSXにおいてはフィルも言っていった様にAppleScriptはObjectiveC やJavaと同じ様にピュアなプログラミング言語として取り扱われるようになりました。つまり、ObjectiveC やJavaを使った開発と同様にAppleScriptにおいてもProjectBuilderやInterfaceBuilderといった開発ツールを使って全く同じようにOS Xのネイティブアプリケーションを作成出来るようになったのです。ではそのProjectBuilderにおける実行環境をお見せしたいと思います。(ProjectBuilderを立ち上げる)

これがProjectBuilderで立ち上げた時のAppleScript Studioの様子です。これはプロのプログラマーが使用することを想定した実行環境なので御覧のようにいろいろなものが付いてきています。今までのテキストを編集するだけの機能をもったシンプルなScriptEditorとはかなり違います。

ごらんの様に(アプリの画面を表示しながら)右側にはスクリプトが開いており、いくつかのルーチンやカラリゼーションが表示され、左側にはAppleScriptを使ってMac OS X対応アプリをプログラムする時に使う様々な資産が表示されています。例えばそこにはスクリプトがあり、(左側のフリップを切り替えて右側に画像を表示しながら)また様々な画像ファイルがおかれ、アプリのデザインに使うテンプレートもあり、その他プログラムを作るときに必要なあらゆるリソースをここに並べておくことができます。(また左側のフリップを切り替えながら)またプログラムを作るときに使えるコマンドを探せるリファレンス用の辞書を右側に表示させることが出来ます。(画面右側をスクリプトに戻しつつ)その後でまたスクリプトを表示させることが出来ます。(続いてウィンドウ上部にデバッグ用ウィンドウを表示しながら)そしてこのようにデバッギング・ウィンドウを表示してやれば、プロフェッショナルなプログラミングには欠かせない段階を踏みながらのデバッギングを行うことも出来ます。だからAppleScriptでProjectBuilderの環境で作業をする限り、いちいち実行を繰り返してワークフローの中の間違い探しをする必要はなくなった訳です。

こうしたツールがMac OS X上で素晴らしいアプリケーションを作り出すことを可能にしてくれます。ここで私が作ったものをお見せしましょう。これはアド(広告)ビルダーという小さなMac OS Xアプリで、不動産の広告を作成するものです。見ていただければ分かりますが、ちゃんとAquaのの要素を全て備えているのがお分かり頂けると思います。タブやラジオボタンやポップダウンメニューなどAquaを備えたアプリが持っているインターフェースの全てはAppleScriptで実現可能なのです。

このアプリを使ってアドビインデザイン、ファイルメーカープロ、アイビューメディアプロという何れもMac OS Xに対応したアプリを動かして不動産広告を作ってみましょう。これでじゃまずスタイルを決めるテンプレートを選びましょう。「アウトサイド」なんかいいですね。物件の所在地はピードモントを選んで、さらにタブを切り替えてテキストと画像のインポートを選択して、ドキュメントのビルドボタンを押します!(勝手にアプリが立ち上がりどんどん作業が進んでいく。)

そうするとアプリ自身の中にあるスクリプトが立ち上がる、そしてアプリ自身がもっているテンプレートを展開する、ファイルメーカープロからの情報を適当なサイズと大きさにして枠線の中に並べる、そしてイメージ画像を一つ一つ開いて適当なサイズと大きさに・・・(アプリの動作が速過ぎて説明が追い付かない。)これはこの世で唯一、Mac OS XとAppleScriptの組み合わせでしか出来ないことです!(拍手と大歓声)

ありがとう。最後にもう一つ申し上げましょう。AppleScriptは無料でDeveloper Toolsと一緒に出荷され、全てのMacintoshで使うことがます。(引き続き拍手。)

フィル:サル有り難う。サルはほんとにAppleのデモ王だね。ほんとにうまいよ。さて時間も迫って参りましたが、この会を終わる前に一つやりたいことがあります。ここでたくさんの2500種類にも及ぶすばらしいアプリケーションのことをお話したいと思うんです。

皆さんは毎日こうしたアプリケーションの開発ニュースについていろいろ聞いておられると思います。例えば今回のエキスポのショーでもアドビ社のすばらしい動きとかマイクロソフト社関係の動向についてお聞きになると思います。あるいはサイベース社の発表を既にお聞きになっているかもしれません。サイベース社は今までMacに未対応だった業務用データベースをMac OS X に対応させることを決断したのです。(大拍手。)そうした「大きな動き」については皆さんも注目していて、よく学んでいらっしゃるだろうと思います。

(場内スクリーンに「Hidden Gems」「隠れた宝石」の文字が映し出される。)

ですが、小さい会社が送りだす小さなニュースもあります。それは一度使ったら手放せなくなる、あるいはこんなアプリが欲しいと思っていたけれども今までMac環境でそうしたものが手に入ることは知られていなかった、そういったクールなツールのことです。2500種類のアプリの中にはまさにそうしたアプリがたくさんあります。

これからの数分間を使ってそうしたすばらしいアプリの一部をクリックして起動させ、ここにお集りの皆さんにそうした隠れた宝石たちの存在をもっと知っていただこうと思います。(フィル、一台のマックに向かう。)私は自分のチームに頼んでこのマックのドックの中に100種類のアプリを入れてもらいました。(ドックの中には確かにすごい数のアプリのアイコンが入っている!)ご覧の通り、もし皆さんがドックにアプリを百個入れたいとお思いでしたら、それは可能ですと申し上げておきましょう。(場内笑いと喝采。)今からの数分を使って私はこれらのアイコンを片っ端からクリックしてアプリを立ち上げていきたいと思います。

アビー:フィル、アプリがそこにいくつ入っているか数えてないし、ちょっと時間がないよ。

フィル:今のはちょっとした冗談。今回はやりません。そのうち「ドック祭り」をやる機会があったらドックに入る限りのアイコンを入れてやってみたいけどね。(ドック上のアイコンの列をマウスポインタでなぞると触れられたアイコンが滑らかに拡大し、元に戻っていく。)ちなみにこれがアイコンの拡大機能です。今からこの順不同で並んでいるアイコンの中からデモを行うアプリのアイコンを探してデモします。チームのみんなは順番を特に考えずにアイコンを入れていったからね。(フィル、アイコンの拡大機能を使ってたくさんのアイコンの中から素早く目的のアイコンをみつけてみせる。)

ほら見つけました。まずご紹介したいのは「Earthbrowser」です。これはみなさんが御存じなかったかもしれないけれど、ウェブ上からダウンロードできるクールなツールの一つで、世界中各地の時刻と天候をリアルタイムで知ることが出来るスグレモノです。こうして画面上の地球儀をまわすことでどこが夜でどこが昼かというのもすぐ分かりますし、例えばホノルルを選んで天気をみてみると少し曇っているけれどもここ(サンフランシスコ)よりはずいぶん過ごしやすそうなことが分かります。

アビー:みんなに南極をみせてくれる?

フィル:いいとも。(画面上の地球儀を垂直にまわして正面に南極大陸を表示させる。)南極にはカメラがあるので(画面に現地からのリアルタイム映像が表示される。場内拍手。)非常にいいですね。ということでこれから南極に行く方は参考になさって下さい。このようにウェブをサーフすればこうしてすばらしいたくさんの隠れた宝石に行き当たるわけです。もうひとついってみましょう。今度はもう少し教育に関係するものです。皆さんの中には化学を専攻しておられた方がいらっしゃるでしょう。そうした皆さんは周期表(Periodic Table)を参照するためだけに10ポンドもある教科書を持歩かなくてはいけなかったと思います。しかしここに学習をする上での新しい選択肢としてSynergy Creation社製の周期表のソフトウェアが登場しました。例えば基本周期表を立ち上げてみましょう。ここでTitanium PowerBook G4のことを考えたとします。そうしたらチタニウムの融点のことがきになりますよね?(場内笑)そこで(表の一部をクリック)このようにしてよれば融点は1943度Kだということが分かります。これで皆さんがPBG4を持っている時、太陽にどのくらいまで近付いてもいいかってことが分かるわけです。(場内笑)いまやMacでそうしたことまでわかるようになったんですね。こういうのが皆さんは知らないかもしれないけれども実はウェブ上で既に手に入るまさに隠れた宝石です。すばらしい。

いままでの二つも比較的技術ヲタ的なネタではありましたが、続いて本当に技術ヲタク向けのアプリを紹介しましょう。これは「Atom in a Box」というソフトです。皆さんはきっと日頃水素原子の軌道を実際に見てみたいと思っていらっしゃいますよね。これはMac OS X上でそれを見ることだけを目的にして誰かが開発したアプリです。さっそく立ち上げて使ってみましょう。まず空間に色をつけてみましょう。なかなかクールですね。こうしてスペクトラム処理をしてみましょう。そしてお聞きのように個別の軌道がハミングしているのを聞くこともできます。これは音楽ソフトのビジュアル画面じゃないんですよ。さらには画面を3次元的に展開することもできるんです。というわけで皆さんはどうかは知りませんが、私は毎日このソフトを使って水素原子の軌道のウォッチをしています。このように隠れた宝石はウェブのいたるところにあります。そしてMac OS Xでは実に多様なアプリケーションの開発が行われているというわけです。

アビー:それはよく分かったんだけどもう少しみんなが楽しめるやつを紹介してもらえないかな?

フィル:よし分った。みなさんゲームをしますよね。私もやります。やり過ぎだという説もありますが。ここに私が別の日にウェブからダウンロードしておいたゲームがあります。アンブロシア社の「Deimos Rising」というソフトです。(ゲームを始める。)これはアーケードゲームにハマッた人にはお馴染みのソフトの新しいバージョンでMac OS X上でのできばえも最高です。プレイヤーは俯瞰画面で表示される火星の渓谷を宇宙船で飛行しながら敵をやっつけていきます。こういうのは得意です。(フィル、快調に敵キャラをやっつけていく)ほらお次は砲台です。ちょろいもんですよ。(ゲーマーモードになっている。)

アビー:フィル、ちょっと。

ゲーマー・フィル:何?(熱中して振り向きもしない。場内爆笑)

アビー:みんなそろそろお腹も空いてきてると思うんだけど。

フィル:この面だけクリアしていい?いや冗談、これくらいにしておきましょう。(アビー、「一面クリアする?」との問いに)後でまた続きをやろう。(場内笑)

ここでまた楽しいゲームの話から最近みつけた驚くべきアプリケーションの紹介に戻らせて下さい。皆さん御存じかもしれませんが、私の元々の専攻は生化学なのですが、その点から私をうならせたアプリケーションで、なにがすごいかというとタンパク質の連鎖構造をみることができるんです。いまバイオテクノロジーの世界ではGemtech社などの手で新しい発見が相次いでいますが、このアプリ(Biotechnix)を使うとタンパク質の構造を3D空間で表示したり動かしたり、インターネットから必要な情報を入手したり、また見たいアミノ酸の連鎖を選択してハイライトしたりすることができます。みなさんの中で今移っているタンパク質の構造が何か分かった人は消毒したいと思っているかもしれませんね。ちなみにここ3Dで表示されているのはパイソン(猛毒を持つ蛇の一種)の毒素の構造です。(場内苦笑。)このようにいろいろな人々がMac OS X上で面白いものを開発しています。ぜひウェブ上で見てみて下さい。

最後に皆さんが今まで見たことがなかったでしょうけれども見ればぜひ欲しいと思うものを紹介しましょう。これはMacReporterと言って、ドックからいろいろなニュースサービスにアクセスできるようにするアプリケーションです。これはさっき説明したドックメニューの機能を利用して、ドックをクリックすれば特にアプリを立ち上げることなしに、事前に設定したニュースサービスの記事のヘッドラインを表示して(ドックメニューにニュースのヘッドラインが表示される。)見たい記事をみることができるものです。このようにCNNで世界のニュースを見たりMacCentralでこのエキスポのニュースを見たりすることができます。

以上で終わりですが、これらはウェブ上や今日この会場で見ることができる、数千数百ある隠れた宝石であるMac OS Xアプリのごく一部です。繰り返しになりますが2500種類のアプリケーションはApple社のMac OS Xのサイトでもご紹介している他にMacCentralやVersionTrackerといったすばらしいサイトからもアクセスすることができます。この四半期の間だけで実に1000種類ものアプリが登場しており、それは実に一日に10種類以上もの新しいアプリが登場していることを意味しています。ですからそれらは皆さんが想像しているよりもはるかにたくさん存在しているんです。

アビー:ほんとはこれらのアプリを全部みなさんの前でデモして差し上げたいのですが、代わりに会場にいくつかのデモ環境を用意しておきました。それと今からパワーポイントを使ってそれらのアプリの名前をできる限り早いスピードで表示していきますので皆さんもしよろしければ御覧になって下さい。これのいい点は全てのアプリが紹介できる点ですが、悪い点は多分一時間以上かかってしまう点です。僕とフィルはもういかなくちゃいけないんだけど。もし皆さんが宜しかったらリストの上映にどうぞお付き合いください。(場内笑、拍手)

どうも有り難うございました。(アビー、フィル退場、拍手)

(スクリーンでは「A」から始まってアプリのタイトルがどんどん表示されている。)
[弓場@JISMUG]



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