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Adobe MAX Japan 2009:基調講演

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クレイグ・ディーゲル 代表取締役社長

クレイグ・ディーゲル 代表取締役社長

Adobe MAX Japan 2009にて、超巨大スクリーンをバックに、アドビ システムズのクレイグ・ディーゲル 代表取締役社長が、CONNECTーつながりを持って,DISCOVERー発見をし、INSPIREーインスピレーションして欲しい。とAdobe MAX Japan 2009の開幕を宣言し、巨大バルーンの中からケビン・リンチ CTOが登場して基調講演が行われました。


Adobe ケビン・リンチ CTO

Adobe ケビン・リンチ CTO

ケビン・リンチ CTOは「変化しさまざまな問題を抱える現代では、多くの課題に対して世界が繋がり、一緒に解決して行くことが重要で、それにはマルチスクリーン、インターネット等を活用することが有効です。


Flash Platformであれば表現豊かなコンテンツを、幅広いOS、ブラウザ、デバイスへと広げて行くことができる。Flashには更なる飛躍、展開があります。Flash professional、Flex Builder 、Creative Suite、新しいツールとしてFlash Catalystがあり、これらを土台とし、ワークフローとしても、設計としても、デザインでも迅速性を提供。またFlexの技術も提供します。AIRではFlashでの表現を全てデスクトップ上で実現できます。クリエイターから発信された大変エキサイティングな作品を、今日、明日、皆さんにお見せします。また今日はソフトウェア業界にある3つのトレンドについても話します。


1つ目は「クライアント+クラウド」アプリケーションがサーバー上でもクライアント上でも同時に起動。双方向になり、よりよいエクスペリエンスを提供します。2つ目は「ソーシャルコンピューティング」世界の方々を巻き込みながら、皆さんのつくったアプリケーションを主体にエンゲージングな関係をつくっていきます。3つ目は「デバイス+デスクトップ」ひとつのスクリーンという時代は終わり、PC、テレビ、それ以外のデバイスによって、大きな機会がうまれてきた。逆にアプリケーションをつくる上ではこういったものを網羅して行くという課題になってきた。


98%の普及率をもつFlash Playerは開発が早く、2ヶ月ほど前にリリースされたAdobe Flash Player 10では、新しいテキストエンジンで様々な文字セット、ラインレイアウト、ページサポートを提供。また新しいドローイングのAPIではインタラクティブなエクスペリエンスを体験できます。イメージをすぐに立ち上げたり、オーディオトラックをクライアント側で操作することができます。それはAfter Effectsのようなものがクライアント側で、リアルタイムにできるということです。」と述べ、


Flash Player 10で音楽をミックスするアプリケーション「Hobnox Audiotool」、3Dサポートとして近代美術館の展示品を3Dで見ることが出来る「Dale Chihuly」、振っている布に画像や動画をはり、それを変形させる「Cloth Texture Mapping」、入力した文字を好きな形に表現できる「textOnPath」を紹介した。


続いて普及率について「Flash Player 10はリリース2ヶ月ほどで既に50%になった。これは今までに無い早さであと数ヶ月で80%になる勢いです。インターネット上のビデオにおいても、Flashで再生される割合が66%から80%に達しています。これは皆さんが見ているビデオのほとんどがFlashで再生されているということです。Flashプレイヤーが有名なサイトで有効に採用されていることを誇りに思っています。


またAIRに関しては、野球チームであるMLBが今年のオープニングでAdobe AIRアプリケーションを提供するということで、ファンはAdobe AIR上で試合を追って行くことが出来ます。Adobe AIRはリリースから1年で100万ダウンロードされており、ランタイムとしてのインストール数は1億を達成することができ、大変好評です。まだ試してない方はぜひご検証ください。」と語り、最近リリースされたAdobe AIR1.5の機能の紹介に移った。「AIR1.5はLinux、Mac OS X、Windowsのバージョンを同時にリリースしています。そしてFlash Player 10、新しいJavaScript エンジンであるSquirrefish、暗号データベースを実装しています。世界のニュース業界はAIRの実装に興味を持たれています。次世代のニュース配信がどうなるかを、ジェレミーからおはなしします。」


ジェレミー・クラーク エクスペリエンスデザインマネージャー

ジェレミー・クラーク エクスペリエンスデザインマネージャー

ジェレミー・クラーク氏は「先ほど、課題の話が出ましたが、ニュースの業界は特に課題があります。他の媒体、例えばテレビ、ウェブでニュースを読む人が増え、新聞を買う人が減りました。現在、ニューヨークタイムスでは研究機関をもうけ、様々なプラットフォームを使って、どうすれば多くのお客様に読んでいただけるか、ということを考え、AIR1.5 をベースにすることにした。これにより、読者はデスクトップ上でオンラインでも、オフラインでもニュースを見ることができるようになりました。


こちらにニューヨークタイムスのAdobe AIRアプリがあります。内容は基本的に新聞紙と同じ今日のニュースですが、一番上の部分に最新のニュースも表示します。これは2、3分ごとにチェックされたその時点での一番新しいニュースです。表示は忠実で、画面の大きさを変えたとき、サムネイル、サマリーがそれに合わせて移動します。これは新聞紙を見ているようなレイアウトを画面に一番最適な状態で表現するためで、様々な解像度に対応します。さらに、フォントサイズを大きくしたり、小さくしたりできる。また、印刷した記事をエミュレートするということもしました。これによってズームアウトし、全ての記事をブラウズすることができるため通常の新聞紙のように全体を見て、記事の間を行ったり来たりし、興味のある記事に入って行くことができます。


記事の中に入ると、それに合った広告も入っていて、クリックすると、コマーシャルを見ることができます。Adobe AIRを利用しているので、リッチなテキストだけでなく、ビデオも搭載できる。またクロスワードをインタラクティブに埋めて行くことも出来る。また、今はMacで走らせていますが、Windowsでもみれます。最近増えたポータブルPCでもみれます。昨日ヨドバシで見たVAIOのPシリーズは小型で高解像度ですが、アトムというチップセットを積んでいます。ここにあるポータブルPCもアトムを積んだポータブルデバイスで、モバイルインターネットデバイス、ミッドと呼ばれています。ミッドはリナックスでカスタムOSを動かしていますが先ほどと同じように表示されます。クロスワードパズルをし、動画を見ることもでき、小さいので飛行機や電車に持ち込むことができます。」とニューヨークタイムス社が採用しているAdobe AIRアプリを紹介した。


スピーカーはケビン・リンチ CTOに戻り、他のAIRアプリの紹介となった。神奈川県宅地建物取引業協会の業務支援システム「KTツール」という不動産ツールはPDFとライフサイクルを用いていると説明。不動産を検索し、ソーティングも可能で、不動産に興味があればAIRの中のPDFファイルに飛ぶことができ、データをXMLに保管しているので特定の情報を変えたときに同じ情報を載せている他の部分も自動で変更すると説明。


次に株式市場の表示を紹介し、自分が興味のある会社の情報をドラックアンドドロップすればトラッキングされ、ネットをつないだ直近の情報がデスクトップ上で見れると説明。


最後にソニーのフェリカのカードリーダを利用して、面子で遊ぶAdobe AIRアプリケーションを紹介。フェリカをPCにかざすと、デスクトップ上にフェリカが現れ、ゲームができる。物理的な世界とデジタルの世界をフェリカとAdobe AIRで統合したケースです。と説明した。


次に、クライアントとクラウドを拡張する話をしているので、クラウドの機能の説明をするとして、アプリケーションに追加できる機能となる「Tour de Flex」について「様々なFlash Platformの機能を見せるAIRのアプリケーションになります。情報をクリックすると、その情報が載っているサイトへ飛ぶことが出来ます。オーバービューもでてきます。クラウドのAPIの選択もできるようになっています。さまざまなクラウドのサービスを見ることができ、アプリケーションをFlash Platformで構築するときにつかえます。」と話し、例としてアマゾンをあげ、アプリケーションに接続が出来、デモの中でテストできる。様々な本を検索できるが、それはアマゾンのウェブサービスから返ってきている情報をクライアント上で表示されていると説明。次にTwitterについて、ソーシャルネットワークサービスをアプリケーションの中に取り入れることが出来ると紹介。もうひとつの例として、コミュニティ「Adobe Developer Box」を紹介し、いくつかのアプリケーションを紹介したが、「クライアント+クラウド」とはクラウドとクライアントを組み合わせて次世代のエクスペリエンスを提供するという考え方だとした。


次に「ソーシャルコンピューティング」の話になった。「これは1人でするのではなく、他人とつながっていくというエクスペリエンスで、アプリケーションの中で対話するモデル。一方的ではなく、よりインタラクティブで、コメントをつけ合い情報の交換をしている訳で、1人でアプリケーションを使うという状況ではなくなってきています。ソーシャルな側面は、インターネットで世界的に現れてきている」として「Adobe Wave」、「Evite」、「ニコニコ動画」を紹介した。



最後に3つ目のトレンド「デスクトップ+デバイス」について「世界中のソフトウェアのトレンドを変えています。複数の画面、スクリーンというトレンドです。現在、インターネットに対応するデバイスの能力はPCにとどまりません。日本はモバイルテクノロジーを他に先駆けて導入している市場ですが、携帯電話はそこから始まり、世界中でPCを超えたものになってきています。インターネットにつながれている情報端末の割合は、PCは小さく、携帯電話が大部分を占め、テレビやセットトップボックスが増えてきています。


新興市場においては10億人が携帯電話からアクセスするようになり、PCを使わない世代があらわれる。これは大きな変革でインタラクションのやり方を大きく考え直さなくてはいけない。モストモバイルというアプローチをとり、デザインをするときは携帯向けの大きさでつくり、大きなスクリーンに対応させる、という流れが順当になるのでは無いでしょうか。Adobeでは2010年までに10億台という携帯端末にFlash普及させる目標を持っていましたが、2009年に達成できそうです。予定より1年早い達成ですが、携帯端末は15億台を超えており、更に前に進まなくてはいけません。という訳でオープンスクリーンプロジェクトがあります。さまざまなパートナーと組んで、さまざまなスクリーンでさまざまなosをまたぎ、エンドユーザーに同じコンテンツを提供し、障壁をなくすものです。その中で、NTT DoCoMo様とは長年パートナーシップを組んでいます。」とし、NTTドコモの永田氏にバトンタッチした。


NTTドコモ、プロダクト&サービス本部プロダクト部長永田 清人氏

NTTドコモ、プロダクト&サービス本部プロダクト部長永田 清人氏

「今日はユーザーがPCを使っていようがケータイを使っていようがデバイスに関係なくすばらしい経験が出来る世界をつくりたいという考えと、デモによる技術の基盤を見ていただきたい」とし、モバイルのエクスペリエンスをどのようにつくってきたのか、という流れを紹介したあと、「既にFlash対応端末は累計1.2億台を出荷し、多彩なFlashコンテンツが拡大中。利用者もたくさんおり、Flashファイルのダウンロード平均は1日で1億を達成している。これからは様々なエリアとの融合サービスをして行きたい。これは、テレビ、PC、PDA、ケータイにかかわらず、ユーザーが同じ体験を一緒にして行くということが重要になるという考えで、Adobe様のオープンスクリーンプロジェクトとぴったりマッチしているためプロジェクトに賛同しました。


Adobe AIRの技術を導入することによって、一貫したお客様の経験、あたらしい価値を実現したい。」と語り、オープンスクリーンプロジェクトによって今後でてくるだろうアプリケーションの様子を「現状のウェブアプリでは、圏外になれば全く使えない。スクリーンサイズに対して、コンテンツを別々につくる必要があり、見た目、操作性が違うため同じ内容でもユーザーがそのように体験できないが、AIRを使うえばパッケージ化されるため、オフラインでも利用できるアプリがつくれる。Flash、JavaScript を使用するため、リッチな表現のコンテンツになる。ユーザーが持ってるデバイスを気にしないで同じサービスを利用することが出来る。この3つを特徴として、今後のサービスをつくって行きたい。それはどいうものか、3つほどシーン別につくったデモをみてください。」と3つのデモに移った。


●ビジネス系:今までより、リッチな表現でより使いやすく。必要な情報がオフラインでも見ることが出来る。


●音楽系:好きな音楽を探したい場合、PC上にあっても、ネット上にあっても選ぶことが出来る。コンサート会場の様子がみれる、場所がGPSで示される。


●ゲーム系:ケータイ、ゲーム機、パソコン、テレビでも場所を選ばず対戦できる。


続いて、さらに発展させた場合、AIRを使ってどのような世界がひろがるかというデモンストレーションビデオ、Wedding Appliを流した。Wedding Appliではデバイスを問わず使え、主催者側が招待状を出すと、招待者側は出欠席の返事、メッセージ、ご祝儀が送れる。当日はナビゲーションで迷わず到着。受付もケータイですませ、新郎新婦は受付されたことを知ることが出来る。タイムテーブルも管理し、会場では送られたメッセージを流し、欠席者もメッセージやライブカメラが見え、そこにいるような体験が出来る。さらには、みんなで写した写真を共有し、アルバムも作成できる。というように準備からアルバム制作まで、1つのアプリで完結できるというものであった。


以上の機能の中から、PCとケータイ間でフォトアルバムを共有するデモをし、このようなプロトタイプがつくられていると紹介。これからも、Adobe様と一緒になって、オープンスクリーンプロジェクトを通じて、さらなるフューチャーモバイルエクスペリエンスをつくっていきたいとした。

スピーカーはケビン・リンチ CTOに戻り、非常にエキサイティングなデモでした。私たちの前にある道は非常にエキサイティングです。「クライアント+クラウド」「ソーシャルコンピューティング」「デバイス+デスクトップ」このような革新は同時に発生しています。非常にエキサイティングな時代にいます。ソフトウェアの業界がまさに次世代のものをつくって行く。デバイス、デスクトップ、インターネット間を超える未来をつくって行きたいと思います。Adobe Max2009を楽しんでください。と基調講演を閉めた。





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